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銀色の玉がコロン、と入った穴は黒。
「残念!二人ともハズレ」
そう言ってテーブルに置かれた三十万を回収した。
お客さんは何かを考え込んで、そしてあくどい顔を見せた。
「お前、全部覚えてるな?」
「なんのこと?」
「玉を投げ入れる時、お前はタイミングを計っていた。そして二回目と同じタイミングではなく、回転の速度が同じ。回す方向も同じだった。素晴らしい動体視力だな」
私はにっこりと笑みを浮かべる。すごい、まさかバレちゃうなんてね。私はルーレットに小さな傷をつけている。特定の数字がその傷と合わさった時に投げ込めば特定の数字の場所に入る。そういう、イカサマだ。
だからさっきこのお客さんに言われたタイミングだと特定の数字に入らなかった。
「同じ速度でルーレットを回し、同じ威力で玉を投げ込む。全ておなじでなければ1つずれる。いや、非難しているわけではないゾ?むしろ褒めている。素晴らしい動体視力、素晴らしい記憶力!さすが、このカジノ一番のイカサマバニーガールだな」
「褒めてくれてありがと♡ルーレットの種がバレたのは初めてだから驚いちゃった!もう一回するぅ?今度はイカサマなしでやるよ!なんなら目隠しでもしたげようか?私の趣味じゃないけど」
「いや、良い。保護者が来たようだ」
そう言ってお客さんは立ち上がり、テーブルにポン、と札束を置いた。
「チップだ。取っておけ」
「ありがとうございまぁす」
目算で百万ある。やったぁ!
そう思いながらチップを回収すれば、お客さんは黒髪の赤いマフラーをつけているお客さんに近寄り、そして私を指差し何かを耳打ちすれば出口の方へと向かっていった。
「……そう言えば、なんで私を探していたんだろう。聞きそびれちゃったなぁ」
そんなことを思いながら、チップとして回収した二百万を持ってオーナーの元へ歩いていく。
オーナーは裏口のドアに立っていて、私が持っている札束を見た。
「……いくらだ?」
「二百まぁん。三十万は無駄打ちさせて来たよ」
「さすがだな。寄越せ」
札束を渡せばオーナーは嬉しそうにそれを警備員に渡し、そして私に二百を渡す。
「休日出勤なんですけどぉ?」
「二百もあれば十分だろう」
オーナーはしっしと手を払う。私は二百を受け取って、寮に戻っていった。
−−−−−
更新滞っててごめんなさい
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闇ちょこ(プロフ) - 白尾…会社……??えっっ…アッ、やめときますね!!((マフィアのイメージとか世界観が他の作品と全然違うので、新鮮でとても面白かったです!!完結おめでとうございます…!! (2021年4月7日 13時) (レス) id: c4d9600a7c (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - 完結本当におめでとうございます!お疲れ様です!ランドルせさんの長編小説ということで新鮮な気持ちでドキドキしながら読ませて頂きました。相変わらずとても内容が濃くて面白かったです……!!これからも期待しています!!頑張ってください!!! (2021年4月6日 20時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - ぴざるさん» 好みって言われるの嬉しいです!更新頑張ります! (2021年3月28日 8時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴざる(プロフ) - うぐっ…神作品に出合ってしまった…めっちゃ好みです更新頑張ってください (2021年3月28日 7時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - 雨音さん» コメントありがとうございます!ゆっくりめの更新になっていますが完結まで走りきろうと思いますのでよろしくお願いします! (2021年3月20日 13時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ランドルせ | 作成日時:2021年3月4日 19時