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にっこりと笑みを浮かべながら、私はトランプを出す。種も仕掛けもない。当たり前だ。私が今からやるのはルーレットなんだから。
「ここに三枚のトランプがあります」
「
「せっかちなお客さんだなぁ。ルールは簡単。お客さんだけが賭けるなんて面白くないでしょ?だから、お客さんはいつも通り賭けて良い。数字に賭けても良いし、色に賭けても良い。
ただし、私が赤か黒か、もしくはジョーカー、どれかを選んで、それが見事!ルーレットに当たれば、お客さんの賭け金は私のチップになる。どう?」
「……なるほど。しかし色だけなら確率は大きいだろう、それは不公平じゃないか?」
「それもそうだよねぇ。じゃあ50より上か下かも予想する。ジョーカーは0ね?」
「それなら良いだろう。色と上か下か、どちらも当たれば俺の賭け金はお前に丸々チップとしてくれてやる」
そう言ってお客さんはテーブルの上に札束を置いた。
「百万ある。赤色に賭けよう」
「ひゃあ〜太っ腹!おっけ〜、じゃあ私は黒、50より下」
私はスペードのエースをテーブルに置く。お客さんはにっこりと笑って続きを促した。私はテーブルに備え付けられているルーレットを勢い良く回した。カラカラカラ……と音をたててルーレットが周り始めて、私は小さな銀色の玉を持つ。
「入れまぁす」
その声と共に銀色の玉を投げいれれば、硬いものが木に当たる音。そして両方が回り出す。最初に回したルーレットの勢いが弱くなり、そして、銀色の玉が入りそうで入らない……を繰り返す。
カラン、と音がして玉が入る。
「……ふむ」
「残念でした、黒色の10。私の勝ち!百万もチップありがとうございまぁす♡」
テーブルに置かれた札束をテーブルの下に隠す。お客さんはしげしげとルーレットを眺める。
「イカサマをしている様子は無かったな」
「運も実力のうち。私はこのカジノのバニーガールの中で一番運が良いと思うなぁ」
「もう一度だ。お前が先に決めろ」
「うーん……じゃあ、赤の50上」
「じゃあ私も赤に賭けよう」
そう言ってお客さんは三十万をテーブルに置いた。
「良いの?50下じゃない限りまた私のチップになるけど」
「良い。早くしろ」
仕方ないなぁ、と急かされるようにルーレットを回す。カラカラと音を鳴らし、銀色の玉を持つ。
「入れま……」
「待て」
お客さんに止められて入れる手を止める。首を傾げながらそちらを見れば、「今だ」と言われ渋々投げ入れた
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闇ちょこ(プロフ) - 白尾…会社……??えっっ…アッ、やめときますね!!((マフィアのイメージとか世界観が他の作品と全然違うので、新鮮でとても面白かったです!!完結おめでとうございます…!! (2021年4月7日 13時) (レス) id: c4d9600a7c (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - 完結本当におめでとうございます!お疲れ様です!ランドルせさんの長編小説ということで新鮮な気持ちでドキドキしながら読ませて頂きました。相変わらずとても内容が濃くて面白かったです……!!これからも期待しています!!頑張ってください!!! (2021年4月6日 20時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - ぴざるさん» 好みって言われるの嬉しいです!更新頑張ります! (2021年3月28日 8時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴざる(プロフ) - うぐっ…神作品に出合ってしまった…めっちゃ好みです更新頑張ってください (2021年3月28日 7時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - 雨音さん» コメントありがとうございます!ゆっくりめの更新になっていますが完結まで走りきろうと思いますのでよろしくお願いします! (2021年3月20日 13時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ランドルせ | 作成日時:2021年3月4日 19時