＊＊＊ ページ36
「どこまでもお荷物の役立たずでしたね、水野薫。ただ一つ救いなのはお前が負けたおかげで素晴らしいショーが見れる」
「ショー？」
「�祇っ�の過去の記憶だな」
「勝敗が決したため、第5の『鍵』を授ける。これだ」
破かれた1枚の紙切れ。それが次の『鍵』だという。その紙には死炎印がついていた。確か、勅命を告げる手紙に灯されるものだったと記憶しているけど。
「いよいよ次の記憶で何が見えるかはもうお分かりですね。私にはめられて八つ裂きにされるシモン＝コザァートの最期だ！！」
記憶は拒否したから僕が見ることはないけど、たぶんそんなことないんじゃないかなって思うんだ。だって、あの男が易々と騙されるわけがない。
記憶が流れ終わったのか、D・スペードの顔が歪んでいく。
「バ……バカな！！�祇い忙笋虜�が見透かされていただと！？」
「シモン……コザァートは……」
「殺されていなかった……」
「どうやらシモンファミリーに伝承されてきた歴史が塗り替えられることになりそうだな」
やっぱり、シモン＝コザァートは殺されていなかったんだろう。ただ一つ、そうなると疑問が残る。
シモン＝コザァートが死んでいないのなら、どこで生きていたの？そもそも生きていたのなら、後世のファミリーが誤解するような形跡は残さないようにするのが普通なんじゃない？
「この私ですら、今の今までコザァートの足取りを知らぬ……」
D・スペードが知らないとなると、本当に日陰を生きてきたことになる。本当に死んだかのように見せかけてきた？それは中々ハードだと思うけど。
「ハハハハッ！まあ、いいじゃねーか♪シモン＝コザァートは無事だったんだからさっ」
「山本……」
「まあよくねーだろ！ノーテンキ野球バカ！！」
「相変わらず軽い奴だな」
鈴木アーデルハイトと水野薫が引き摺られていく。敗者は復讐者の牢獄に囚われるのがルールだ。こればかりは仕方ない。
「沢田……頼みが、ある……炎真を、あの子を助けてあげて！！炎真の心はもう……引き返せない程に壊れている！！コザァート達の過去の記憶も届かない！！救えるのは……もうあなたしかいない……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2023年2月20日 23時
