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その瞬間、城にヒビが入る。そのヒビには小さな破片が埋め込まれていた。それが徐々に増殖していって膨張を始める。球針態を作るロールの欠片が氷の城を砕いていった。鈴木アーデルハイトは川に膝をつく。
「終わりだよ」
「……そんな……くっ……だが、炎真が必ずやシモンを再興する。ボンゴレについたことを後悔することになるだろう」
「僕はどちらにもついていない。僕のやりたいようにやるだけだ」
僕らも行こうか、とヒバードに声をかける。すぐに僕の腕から飛び立ったヒバードは急かすように頭上を回った。分かってるよと笑いかけて、崖から飛び降りる。
「まあ……たしかに。空があると雲は自由に浮いていられるけどね。でも、いずれ大空でさえ咬み殺す」
びりっと破られた腕章。水飛沫を上げて着地すれば、ヒバードが頭の上に降りてくる。
「見えるところにおいでよ、ヒバード」
「ピッ！」
指を差し出せば、素直に掴まる。美味しそうな炎の気配に振り向けば、復讐者が来ていた。
敗者は鈴木アーデルハイトだと言って、次の『鍵』を授けようとする。それはインクの瓶だった。記憶が流れている間に、気配がする方向へ視線を向ける。加藤ジュリーと、クローム？なんだか様子がおかしいようだけど。
「ボンゴレ�祇い蓮帖張轡皀鵝瓮灰競 璽箸鮟�けに行こうとしていた！！」
「…………バカな……」
「てめーもはっきり見たはずだ！！」
流れた記憶で揉めるのは後にしてほしいんだけど。それはそうと、僕は僕の失敗を挽回しなきゃね。
霧からトリックスターのナイフを取り出そうとすれば、一足先にヒバリさんが手錠を投げる。取られた、と頬を膨らませると、加藤ジュリーは余裕たっぷりに手錠を弾いた。
「見つかっちまっちゃしょーがねーなあ」
「……ジュリー！！」
「あっ！クローム！！」
今更気付いたの？まあ、記憶が流れてる間は仕方ないけどさ。
「ジュリー……炎真のことは……頼めるわね」
「ああ、まかせとけ。お前はよくやったさ、アーデル」
「ジュリー……」
「ヌフフッ、これでオレちんもキレイさっぱりシモンに見切りをつけられる」
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作者名：怜
| 作成日時：2023年2月20日 23時
