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「じゃあ、僕は行くね」
「ここを通す気はないと我々が言えばどうする?」
「そうだねぇ……。契約に基づいて手を出す気はないけど、
逸らしていた目を復讐者に向ける。ねぇと首を傾げれば、彼らは黒い炎に飲み込まれていった。くれぐれも戦いに手を出すなと忠告をして、掻き消えた炎。
どうせなら炎をもらっていけば良かったなぁ、と呟いて足を進める。
そうだ、ヒバリさんにアジトについたって送っておかないと。そう思って取り出した携帯に映っていたのは圏外の2文字。電波妨害か、ただ単に電波が届かないのか。どちらにせよ、使えないってことだ。
じゃあ、持ってる意味もないね。
適当に霧の中に投げ込んで、森の中に踏み込む。もう一度リボーンの居場所を確認して、木々の上を走り始めた。
***
リボーンたちと合流して状況を話してもらえることになったから、その辺の木陰で輪になる。つらつらと読み上げるようにリボーンが話しているのを聞きながら、僕が来る意味なんてなかったんだなって思った。
だって、これはシモンとボンゴレの戦いだ。それぞれの守護者が誇りをかけて戦うだけ。僕は守護者ではないし、戦う番なんてやってこない。来ただけ損だよ。
それはそうと、戦いが終われば、初代たちの記憶が見られるらしいんだ。もう2回見たんだって。今とは違って、とても穏やかで仲良く見えたって話だ。何かが食い違っているんじゃないかって沢田綱吉は言っていた。
「それで、僕を呼んだ意味はあるの?」
「正直に言うとあんまねーな」
「帰っていいかな」
じとーっとリボーンを睨む。呼ばれたから朝早く起きてこんな辺鄙なところまで来たのに。意味がないって言われるくらいなら帰りたいよ。
「Aを呼んだのは別の話がしたかったからだぞ。おまえ、じーさんの話をどう見てんだ?」
「……僕の前任がいたって話のことかな」
「ああ」
ボルサリーノのつばを下げるリボーン。
前任か。考えたことはなかったけど、あり得る話だ。僕が知らないだけで、エンティティさまが信者を集っていたのかもしれない。
それに、繋がる話はある。前に偽者を殺したときの話だ。あのときの伝承は本当だったとしたら。
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作者名:怜 | 作成日時:2023年2月20日 23時