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しばらく考え込んだヒバリさんはおいでと手招きする。素直に近寄れば、これからする話は聞いておいて損はないから、と言われた。そういうことなら、と頷いて座布団に座る。隣に腰を下ろしたヒバリさんは笹川了平にも座るように促した。渋々といったように笹川了平も座る。
それからヒバリさんが話したのは敵アジトの図面が手元に流れてきたということだった。どういうこと?
「うちのサーバーに流れてきてね。それも2時頃に途絶えたよ」
「2時頃って、クロームの内臓が消えた時間と同じですね」
「君はこれを持って向こうに知らせなよ」
USBが笹川了平に投げられる。頷いた笹川了平は急ぎ足で部屋を出ていった。
この情報、六道骸がこちらに流したとしか考えられないね。敵アジトに潜入して情報を流すなんて、大胆なことをしたものだよ。それでバレてクロームの内臓を補えないほど疲弊したのか、はたまた死んでしまったのか。
まあ、簡単に死ぬようなやつではないと思うけど。
「A、君はこれを覚えて」
「分かりました」
「……理由は聞かないんだね」
理由……。う〜ん、聞く必要がないと思ってるからね。だって、ヒバリさんは無駄なことを僕にさせないから。それにマップさえ把握してれば、僕は動けるし。
その辺はしっかり信用してるんだ。いずれ捨てなきゃいけないものだとしても、捨てるまでは有効活用するよ。
「信用してますから」
「……はあ」
ため息を吐かれて首を傾げる。ボソリと呟かれたことに苦笑してしまった。僕は耳がいいからね。聞かれないようにって声を小さくしても聞こえてしまうんだ。
離れるくせに、と恨みがましい言葉は……そうだね、聞かなかったことにしよう。
「じゃあ、覚えるのでデータください」
「……待ってて」
「ここにないなら、僕が取りに行きますよ?」
「いいから」
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月24日 23時