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*** ページ12

「Aは自分で自分に暗示をかけたんだ。自らは人間ではなく人形だってね。そこに至った経緯も理由も僕は知っているけど、君たちに話すつもりはないよ」

「Aさん、は……人間なんですよね?」

「さぁね。でも、君達みたいな人間らしい生物じゃないことは確かだ」


だからこそ、Aは自身が人間ではないと確信を持っていたし、人形だと暗示をかけていた。そのほうがエンティティの信者を務めるにあたって最適だからだ。
自分の意思は不要だということが一層そのマインドコントロールに拍車をかけた。


「意味が分かんねーぞ、ヒバリ」

「理解しなくていいよ。Aのことを知っているのは僕だけで充分だ」

「随分な独占欲だな。余裕がねー男は嫌われるぞ」

「それはどうだろうね」


フッと微笑むヒバリはAを抱き上げる。死んでいるかのようにぴくりとも動かないAを、ヒバリは愛しいものを見つめるかのように優しい瞳を見せた。


「この子は僕のだよ。君たちにはあげない。特に沢田綱吉。君がAのことをどう思おうが、Aが君に心を許す日はない」

「え゛っ!?」

「10年後の君は随分とAに執心のようだからね。今のうちに釘を刺しとくよ」


鋭い視線が敵意を持ってツナに向けられる。肩を震わせたツナはヒバリの言葉を時間をかけて飲み込み、目を白黒とさせた。それもしばらくすれば、ツナは納得したように頷く。

多少誤解はあるものの、ツナはかねてよりAと仲良くしたいと思っていたからだ。その様子がヒバリの癪に障ったのか、顔を顰めさせる。


「これ以上Aに近付くのなら、次は殺す」

「あ、いや違くて!!オレはただAさんと、仲良くなれたら、いいなって……」


徐々に尻すぼみになっていく言葉。ヒバリは気に入らないとばかりに鼻を鳴らした。


「無理だよ。Aは君を仲間だと思うことはない。あれからの命令がある限り、Aにとって君は守るべき弱者の他にならない」

「あれからの命令……って、まさかエンティティ……?」


その言葉に返事はせず、ヒバリは踵を返す。その後ろを草壁が追いかけていき、3人はトレーニングルームから姿を消した。

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作者名: | 作成日時:2022年10月24日 23時

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