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その日の夜、ヒバリさんのアジトに訪れたリボーンは、10年後の世界について説明してくれた。
ボンゴレ狩りが進行しているんだって。それは敵であるミルフィオーレによって引き起こされていて、そいつらの目的はボンゴレ側の人間を1人残らず殲滅すること。それからもう1つ目的がある。それは……。
「僕……?」
「ああ。ミルフィオーレのボスはAに興味があるみてーだ。ま、そのへんはヒバリの方が詳しいんだろ。あとで聞いとけ」
話を続けると言って、リボーンはまた説明し始めた。
今は過去に戻るために力を備えるときらしく、沢田綱吉たちも絶賛修行中なんだって。で、過去に戻るためにはミルフィオーレの入江正一って人を倒さなきゃいけない。
今回ビアンキさんたちが持って帰ってきた情報はそいつの居場所。入江正一は日本支部のアジトにいて、アジトの入り口も見つけることができた、と。アジトは並盛駅地下のショッピングモール。
そういえば、少し前にイベントをやっていたような気がする。
「おめーにも強くなってもらわなきゃなんねーんだ」
「分かった。エンティティさまから力を貸すように言われてるからね。協力はするよ」
こうして10年後の戦いに慣れるため、僕も特訓することになった。その話のところでヒバリさんが僕の腕を掴む。
「あ、あの……ヒバリさん?」
「Aは僕が預かる。この子は炎を灯せないからね」
「灯せない?どういうことだ」
「A、君は理解できるね」
確信を持って問いかけられたことに頷く。
だって、死ぬ気の炎は生命エネルギーなんでしょ。僕はただの傀儡だから。人形に生命エネルギーは必要ない。だから、この体に生命エネルギーなんてない。加えて食事も必要なく、睡眠ですら無意味だ。
ただ人間らしく生活するために機能として在るだけだ。それは僕が元々人間だったから。だから違和感がないようにエンティティさまが機能として追加してくれただけだ。
エンティティさまの手足として動けばいいだけなんだ、本当は。それでもお優しいから、エンティティさまは僕が人であれるようにしてくれた。
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月11日 19時