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「あ……あれって……!!」

「何してたんだい?沢田綱吉」

「ヒバリさん!!ってあれ!?Aさん!!」

「君の仲間なら林の中だよ。草壁さんが見ているから、平気だと思うけど」


10年前から変わらないその姿にツナは目を擦る。もしかして10年前から来ているのではとツナは思ったが、その耳に見慣れないピアスがあり、10年後のAなのだろうと思い直した。
紫色の小さな宝石を嵌め込んだピアスに首を傾げつつも、ツナは獄寺と山本に駆け寄っていく。

その後ろ姿を見送るAに、ヒバリは近付いた。Aの肩からヒバードが飛び立ち、Aが振り向いた瞬間、その姿は煙に包まれる。

微かに瞠目したヒバリは煙の中の人影が崩れ落ちようとしているのを見て、腕を伸ばした。幾分か軽く感じられる重みと若干幼さが残る顔つきが歪んでいるのを見て、ヒバリは眉を寄せる。そっと頰に手を添えれば、いつもより体温は高かった。


「炎は10年前の君に毒だったね」


状況をいち早く把握したヒバリは、10年前のAを抱き上げながら小さく呟く。ラル・ミルチはその言葉に理解できないと顔を顰めた。そもそもAの情報はあまり入ってこない。
知っているのは多くの情を寄せる神様がいること、ヒバリと行動を共にしていること、よく分からない体質を持っていること。この3点だけだった。


どういうことだと問おうとすれば、ヒバリの鋭い視線に声が出なかった。教える気はないとハッキリ主張するその目が問われることを拒んでいたため、ラル・ミルチは止むを得ず言葉にすることを諦める。代わりに言葉にしたのはどうやってアジトに戻るつもりなのかということ。その疑問には草壁が答えた。


「その心配はいりません。我々の出入口を使えば」


Aを抱き上げたままヒバリはリングを嵌める。そのまま歩いていき、地鳴りの音が響くと、神社の灯籠の辺りでその姿が消えた。


「ただこのまま立ち去るには一つ問題が残っています。雨と嵐のボンゴレリングだ」


敵のレーダーに映っているため、ここで反応を消すわけにはいかないと草壁が言う。ラル・ミルチが引き受けると言ったため、草壁は頷いてリングを2つ渡した。

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作者名: | 作成日時:2022年10月11日 19時

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