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10年後──正確には約9年と10ヶ月後──の世界では、書き置きを残してアジトを出てしまった京子を救うチームと救難信号を上げたヒバードの捜索を行うチームに別れ、それぞれが最善を尽くしている最中だった。
幸いにも京子は10年後の黒川花に保護されており、無事が確認される。必ず迎えにくると言い残したツナはヒバード捜索チームの方に合流しようと急いだ。
一方ヒバート捜索チームの獄寺と山本は、ブラックスペルの第3部隊隊長である
それもそのはず、10年後の世界でツナは射殺されていたのだ。それをガンマの仲間は目撃しているし、ガンマもボンゴレ10代目が死んだと信じていた。実際は生き返ったわけではなく、10年前から来ているのだが、それを知る由もない。
そもそも10年バズーカはボヴィーノファミリー秘伝の武器だ。タイムトラベルなど信じているはずもなく、謎は深まるばかりだ。
ガンマは片手で獄寺の首を締め上げて、目を鋭くさせる。
「そろそろ吐かねーととりかえしがつかねーぞ」
「だ……が…………」
「何か言ったか?」
獄寺は血が混じった唾を飛ばす。ガンマは眉根を寄せて、ビリヤードに用いられるキューで獄寺を殴り飛ばした。10年後の戦いで主流となった
そこへ邪魔が入った。
「君の知りたいことのヒントをあげよう。彼らは過去から来たのさ。僕は愚かじゃないから、入れ替わったりはしないけどね」
「……何やらあんた、詳しそうだな……だがドンパチに混ぜて欲しけりゃ名乗るのがスジってもんだぜ」
「その必要はないよ。僕は今機嫌が悪いんだ……」
その肩からヒバードが飛び立つ。ヒバードは少しの間その場で旋回すると、さらに後ろから現れた人影の肩に降りた。
「君はここで……咬み殺す」
「ほどほどにしてよ、恭弥」
現れたのは10年後のヒバリとAだった。この10年で何があったのか、Aの口調は砕け、随分と親しげだ。しかし、それも閑話というものだろう。
「思い出したぜ。おまえはボンゴレ雲の守護者、雲雀恭弥だ。それから後ろのはあいつが喉から手が出るほど欲しがってるAだろ」
「だったら?」
「ああ、まだ諦めてなかったんだ?」
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月11日 19時