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それはむしろゴーラ・モスカが壊されることを望んでいるようで、自分の予想が外れているような気さえしてくる。
ザンザスの目的は、ゴーラ・モスカの暴走じゃない……?


「モスカを全力でヒバリと戦わせて勝ち越しを決めてから、皆殺しにすることも考えられたはずだ。なぜこんな回りくどいんだ?」

「なんとなく、だけど。ザンザスはあれを壊されることを望んでいる気がするよ」

「A、おまえ……」

「リボーン、あの機械は一体なに?あれは、まるで……」


近づかなければ分からないくらい、微量な炎の気配。微かに漂う人間の匂い。

ゴーラ・モスカに目を向ければ、ちょうど沢田綱吉が焼き切っているところだった。膝をついたゴーラ・モスカの中から、ずるりと落ちる人間。それを見た沢田綱吉の表情は焦りと絶望が混ざっていた。


「…………え……こ……この人……9代目……!?」

「そんな……なぜここに!?」

「ど……どうなってんだ……?」


救急箱を持ったリボーンが駆け寄る。微かに震える沢田綱吉は9代目らしい人間の前で膝をついた。


「ちっ、モスカの構造……前に一度だけ見たことがある……9代目は……ゴーラ・モスカの動力源にされてたみてーだな」

「ど……どーして!?」

「どーしてじゃねーだろ!てめーが9代目を手にかけたんだぞ」


その言葉でようやくザンザスの真意に辿り着く。こんなリング戦、勝敗なんてどうでもよかったんだ。彼は沢田綱吉、またはそのファミリーが9代目に手をかけたという事実を作りたかっただけだ。ザンザスは敵討ちという名目が欲しかっただけだ。
そうすれば、沢田綱吉たちを殺したって絶大な支持を得られる。

どうしてそうするのか、理由は僕には分からないけど、ただそうすればマフィア内では独裁者として振る舞っても何も言われないんだろう。彼はボスの仇を討ったから。その彼が言うことに間違いなんてあるわけない。
立派な宗教の出来上がりだ。おめでたいよ、本当に。


「誰だ?じじぃを容赦なくぶん殴ったのは」

「!ハァ、ハア……ハァ……」

「誰だぁ?モスカごとじじぃを真っ二つに焼き切ってたのはよぉ」


徐々に沢田綱吉の呼吸が乱れる。青ざめた表情、揺れる瞳。動揺を露わにした沢田綱吉の言葉を遮ったのは、小さな声だった。

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作者名: | 作成日時:2022年10月11日 19時

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