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吹き飛んでいく奴ら。ぴゅうと口笛を吹けば、ランチアはニヤリと笑った。
「取り違えるなよ、ボンゴレ。オレはおまえを助けにきたのではない。礼を言いにきた」
「ランチアさん！！え！？Aさんも！？」
くありと欠伸をしながら状況を把握するためにグラウンドを見下ろす。ザンザスは血だらけ。沢田綱吉の守護者の数と比べれば、向こうの守護者は2人しかいないうえに疲弊しているみたいだし。これなら、僕がいなくても大丈夫そう。
じゃあ、もう終わりだね。これで僕の役目は果たしたでしょ？
「てめーら全員！！！呪い殺してやる！！！」
吐血しながらもそう言うザンザス。あーあ、残念だな。もし彼が勝っていたら、それはそれは楽しかっただろうに。本当に残念。
チェルベッロが終わりを告げて、勝者は沢田綱吉とその守護者だと言う。
「A様、誓いは違えぬようにお願いします」
「分かってるよ。エンティティさまの目的に反することがない限り、僕は沢田綱吉の力になろう」
「いﾞっ！？いい、いらないです！！」
「そう？じゃあ、僕はエンティティさまに殺されてしまうかも……？」
「ひいいいっ！！」
にんまりと笑って言えば、沢田綱吉は顔を引き攣らせる。さて、脅しもほどほどにしようか。力を貸すって言ったって、彼から頼まれることは少ないだろうし。
というわけで、帰ろうか。勝敗がついたなら、もうここにいる理由はないもん。
踵を返して歩き出そうとすれば、ヒバリさんがフラフラとこちらに近付いてくる。足を止めて待っていると、血の匂いが漂ってきた。ヒバリさんも結構怪我してるみたい。
「怪我、治療しないんですか？」
「帰る」
「そうですか」
ふらりと倒れかけたヒバリさんを慌てて支える。この人、本当に無茶するね。治療してもらった方がいいと思うけど。素直に聞く人じゃないから、どうしようか。
「君、怪我ないんだね」
「まあ……大した人と戦ってないので」
「ふうん」
顔を歪めながらヒバリさんは歩き出す。釣られて僕も歩き出して、ヒバリさんを横目で盗み見た。血の匂いがするから、すごく気になるんだよね。
明らかにそわそわとしていた僕を流し目に見たヒバリさんは少しだけ表情を和らげる。
「後で治療するから平気だよ」
「……そうですか」
ヒバリさんがそういうなら、放っておいてもいいんだろうな。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月11日 19時
