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「おい、大丈夫か?」
「僕の心配より自分の心配したら?」
「そうツンケンすんなよ、なっ?」
機嫌を取るような言動にそっぽを向いて歩き出す。さっさと次に行かないと。面倒だけど、そうしなきゃいけないみたいだから。
味方をするってことはそういうことでしょ?沢田綱吉の力にならなきゃいけないっていうなら、そうするよ。
「少し休んでいけよ。こっからはオレが引き受けるからさ」
「バカ言わないでよ。僕はまだ動ける」
「そーは言ったって、おまえフラついてんだろ」
図星をつかれて口を噤む。しばらくの沈黙のあと、大きくため息をついた。それから山本武に向かって、ヒバリさんのリングを投げる。
「それ、ヒバリさんのリング。早く持って行けば」
「おう!ゆっくり休めよ!」
「うるさいなぁ、もう」
しっしっと手を振って山本武を見送る。その後ろ姿が見えなくなったのを確認して、膝から崩れ落ちた。あ〜、身体中ギシギシだ。骨、砕けてないといいけど。……まあ、砕けてたとしてももう治ってるか。
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side:NO
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不本意ながらもAが山本に託したあと、山本は獄寺と遭遇した。互いに無事を確認し合うように言葉を交わす。
「Aが助けてくれてよ」
「あいつら、オレ達に貸し作って何企んでんだ……?」
「だが、あいつもしばらくは動けそうにねえ」
「Aが……?」
自力で脱出したらしいと続く山本の言葉に、獄寺は顔を引き攣らせた。猛毒の他に特殊装置で身動きが取れない状況だったと聞いているため、そんな中脱出したAの実力を考える。しかし、それはそれであり得る話だと思い直し、リングを手に出して数を確認すると、顔を上げた。
「ってことは残るは……」
「霧だ!!」
「あの娘か!」
「ああ……体育館だ!!」
走っていく2人の顔色は悪く、限界なのは明らかだった。その足取りもどこか覚束ないまま、体育館に着くと扉を開けた。そこから見えたのは既に倒れているポール。辺りを見渡してもクロームの姿は見えなかった。
「ドクロはどこ行きやがった!!」
「こっちこっち──」
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月11日 19時