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「それでは次回の対戦カードを発表します。明晩の対戦は……霧の守護者同士の対決です」
もう自分には関係ないとその場を立ち去ろうとしたAを引き止めたのは震えた声を出すツナだった。
「ど、どうして……すぐに終わらせなかったんですか……Aさんなら、それができたはずなのに……」
「おい、ツナ」
「リボーンだって!おかしいって思うだろ!?」
リボーンが続けようとした言葉をツナは叫んで遮る。Aは足を止めてツナを見た。震えながらも全身でおかしいと表現するツナを鼻で笑い、Aは口を開く。
「君には分からないよ。彼女の罪も、僕の気持ちも。エンティティさまの御心も」
「分かるわけないだろ!!オレはエンティティなんか知らないし!言ってくれなきゃ分からない!」
「そう?でも、言う必要がないんだよね。理解してもらいたいなんて思ってもないし」
困ったなとわざとらしく首を傾げるA。んーと、と悩むふりをしているAは内心面倒臭いなとため息をついていた。
ツナたちが理解できないことも分かっていたし、こうして問い詰められるのも織り込み済みだったが、彼らが納得するまでは帰してくれないのだろうと半ば諦めの気持ちを持っていた。
「帰るよ、A」
「へっ?ヒバリさん?」
「時間の無駄だ」
そこへヒバリがAの腕を掴み、歩いていく。目を瞬かせるAはツナたちのどよめきを聞いて、ヒバリの表情を窺った。なぜこの人は事情を聞かないのだろうと、なぜこの人は迷いなく連れ出してくれるのだろうと、不思議に思うAはまだヒバリが持つ感情に気付いていない。
「話す気がないなら、帰ればいい」
「ふ、ふふ。そうですねぇ」
「気を使いすぎだよ、君は」
どことなく責めるような口調におかしくなってAは笑い声を上げる。そんなことで怒られるなんて思いもよらなかったAは、改めてヒバリを良い人だなと思っていた。
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怜(プロフ) - リィさん» ありがとうございます!!面白いと言っていただけるとやる気が出ます!まだストックは尽きていないので、今後も早めに更新できると思います。お楽しみに〜! (2022年10月7日 0時) (レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - あ"ぁ"っ…!楽しみすぎてつらい…!!なんでこんな面白い話を作れるのか疑問です…更新頑張ってください!! (2022年10月5日 13時) (レス) @page32 id: 1730b53d16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月1日 3時