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呆れて物も言えないよとAが蔑む。既にマティアは攻撃することなどできなかった。片腕はなく、もう片方の手も武器を握れるような状態ではない。片腕が吹き飛んだことによって重心はずれ、体術すらままならない状態なのだ。

勝負開始から約2分の出来事だった。ほぼほぼ勝負はついているというのに、Aは偽者に容赦しなかった。


「あ、そーだ。死にゆく君にいくつか教えておこうと思ってたんだった。危ない危ない、忘れて殺しちゃうところだったね」


武器を黒い霧に還し、Aは片手を差し出す。そこへ黒い多関節の触手が現れた。


「君たちが信仰してたのは間違いなくエンティティさまだったよ。だけれど、残念だったね。エンティティさまは自らふさわしい信者を選ぶんだ」


「それから厄災だったっけ?あれはねぇ、エンティティさまが邪魔な君たちを殺すためにやったの。君が逃げれたのはただ運がよかっただけ。おかげで僕に害虫駆除が命令されてね。ま、エンティティさまの命令ならなんだって嬉しいけど」


ふわりと微笑んだAが触手にキスをする。恭しく頭を下げたAの頰に触れ、触手は姿を消した。マティアといえば、怒涛のように流れ込んでくる情報量に脳が処理しきれず、固まってAを見るばかり。

目の前の人間は何なのだと。こうも躊躇なく腕を飛ばすことができる人間が表の世界にいるはずがないと。マティアの混乱も尤もだが、なにせAは“普通”ではない。
倫理観はとうの昔に壊れているし、その辺のトリガーなど引きっぱなしだ。


「そもそもね、僕たち信者は痛みに呻いても、怪我なんてエンティティさまからの懲罰以外は残らないんだよ」

「な、によ……それ……」

「それに毒なんて効きもしない。分かる?これ、出来レースだよ。君という偽者を殺すだけの舞台」


こつこつと鉄の床を踏み締めて、Aはマティアに近付いていく。絶望と怯えが入り混じった表情を上から見下ろすと、Aはニンマリと口角を上げた。


「そう。その表情が見たかったんだ。エンティティさまの信者を騙る愚者にふさわしい表情だよ」

「ぁ、……い、いや……」

「さて、お喋りが過ぎたね。まあ、遺言くらいは聞くよ。言ってごらん?」

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(プロフ) - リィさん» ありがとうございます!!面白いと言っていただけるとやる気が出ます!まだストックは尽きていないので、今後も早めに更新できると思います。お楽しみに〜! (2022年10月7日 0時) (レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - あ"ぁ"っ…!楽しみすぎてつらい…!!なんでこんな面白い話を作れるのか疑問です…更新頑張ってください!! (2022年10月5日 13時) (レス) @page32 id: 1730b53d16 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年10月1日 3時

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