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「なんでテメェらが
「我が友の危急存亡のときゆえ、馳せ参じたのさ！」
「本部内はかなり複雑に入り組んでいたはず……どうやってここまで！？」
「その話は後にしよう」
「そろそろ僕の魔法が切れちゃう。みんな、来るよ！」
訳を聞くのは後ってことね。それなら、ささっと終わらせるか。
下がってろ、と言って魔力を集める。ちまちま撃破しているから、面倒なんだ。一気にやれば問題ない。絶大の破壊力を誇る水魔法は濁流のようにカローンを飲み込んで、残ったのはボロボロになったアーマーだけだった。
押し殺したような悲鳴の出所を探そうとすれば、アズールにぎゅうと抱きしめられる。驚いて目を瞬かせれば、目をキラキラさせていた。
「やはりAの魔法は素晴らしいですね。さすが僕の番です」
「アズール、みんな見てる」
「知っています。あの人間もいるので、牽制しているんですよ」
頬にキスをされて俯く。体を離したアズールは俺の腰を抱いたまま、ドヤ顔をしていた。
それからルーク・ハントがこれまでの経緯を話し始めて、恐ろしいユニーク魔法だと頷く。まじない程度の魔法なら気付いても放置されやすい。
「みなさん、グリムを知りませんか？」
「グリム？彼も嘆きの島へ連れてこられたのかい？」
「はい。ヴィルサンたちが連れ去られた後に、捕まってしまって……。みなさんと一緒にいるものだとばかり思っていたんですが」
「この島にきてから、検査のときも、それ以外でも、一度もグリムさんはお見かけしていませんね」
そもそもなんでグリムが？全く理由が分からないんだけど。オーバーブロットしたわけでもないし、俺みたいにブロットが出ない体質ってわけでもない。
「もしかして、俺たちより先にドアをぶち破って脱走した被検体ってのは……あの毛玉か？」
「まさか！グリムはうちのエースやデュースに比べても、魔法の腕が未熟なはずです。それなのに、ボクたちでも破るのが難しい防魔素材を使ったドアを吹き飛ばせるわけがない」
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作者名：怜
| 作成日時：2022年1月31日 0時
