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「──半径10m範囲内にて、魔力反応を感知。ターミネーションモード起動」
低いノイズ混じりの声が後ろから聞こえる。カローンだ。脱走犯を捕まえにきたっていうなら理解できるけど、そうじゃなさそうだな。何せ排除するって言ってるんだから。
外に出て早々カローンが来るなら、警備システムはまだ生きてるってことか？いや、それならブロットが漂ってる問題の方を先に解決しようと動くはずだ。ファントムが収容されているタルタロスの方へ原因を探るのが先決、それ以外は人数が余っていれば対応ってくらい、優先度がついてるはず。
「A、考えるのは後でお願いします。今は目の前の敵に集中してください」
「はいはい。アズールはブロットの蓄積量に気をつけて」
「当たり前です。あんな醜態、二度と晒しません」
タバコに火をつけながら前を見据える。カローンは魔法耐性があるけど物理耐性はどうかな。……って言っても、中に人が入ってるんだったよな。やりすぎると中の人が死ぬかもしれないから、程々にしないと。
こういうスーツってどうやったら中に影響を与えずに壊せるんだ？俺、細々したのとか苦手なんだよな。
＊＊＊
「ふぅ……なんとか倒せましたね」
「見ろ。このカローンの鎧、中に人間が入っていないぞ」
「加減した意味がないじゃん」
無駄骨だ。はぁ……入ってないなら入ってないって言ってほしいものだな。俺がどれだけ努力したと思ってるんだ。……いや、学園の時もそうだったけど、かなり硬かったから火力上げてもよかったのか。そうなると、施設への影響は……。
眉間に皺を寄せながら考え込んでいると、アズールが俺の顔を覗き込む。首を振って何でもないと言った。
「コイツら、学園で俺たちを襲ったときと違って、明確に“ただ傷つけるため”に攻撃をしてきた。……どうも嫌な予感がしやがるな」
「悠長に立ち話をしている場合じゃなさそうね。これ以上事態が悪化する前に、
それもそうだ、と頷いて歩き出そうとすれば、ヴィル・シェーンハイトが忘れ物をしたと言う。
「スペシャル美容液。これだけは持っていかないと」
「この状況でも肌荒れの心配か？スーパーモデル様は大変だなァ」
「フッ。なんとでも言いなさい。これはアタシの“お守りコスメ”なの」
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作者名：怜
| 作成日時：2022年1月31日 0時
