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ハッとしてアズールの胸を押した。形の良い眉を顰めてアズールは渋々離れる。
「これから約3時間同じ場所で過ごさなくてはならなくなった皆さんに、コンピューターゲームのプレイを提案しまーす！」
「コンピューターゲーム？」
「かつて販売されていた数々の大ヒットゲームを、インターネット経由でダウンロートしてお楽しみいただけます」
「あっ、あっ、みなさん、ゲゲ、ゲームとか興味ないですよネ」
俺はそんなことないけど。アズールもボードゲームとか結構するし。
ねえ、と同意を求めるようにアズールを見れば、指の背で頬を撫でられた。目を細めるとくすくすと笑われて、それすらも居心地が良い。
俺、たぶん、アズールがいなきゃここでやっていけなかっただろうな。1日ですらもいられなくて、ストレスになってたかも。
「エッ、ヴ、ヴィル氏……イケイケのスーパーモデルなのにゲームに興味あるの？」
「なにその偏見。どんな職業にだって、ゲーム愛好家は一定数いるでしょう。というか、移動や撮影の待ち時間を潰すために携帯ゲーム機を持ち歩く芸能人は多いわよ」
あー、確かに。そういうの、結構聞くよな。アズールの肩に頭を預けながら話を聞いていると、ゲームをやる方向で決まっていた。
まあ、リドル・ローズハートとイデアさんとで一悶着はあったけど……。イデアさんも煽らなきゃいいのに。
「オルト！モニターにプレイできるゲームのタイトル一覧を表示して！」
「はーい♪」
「あーあ……完全にノセられてる。見てられないわ」
「リドルさん、頭は良いはずなのに煽り耐性がゼロですからねぇ」
アズールに髪を撫でられて欠伸をこぼす。そうだなって呟いてアズールの首元に額を寄せれば、つむじにキスされた。
「ここは個室じゃないのよ。他所でやりなさい」
「こんなに可愛いAを放っておけ、と言うのは無理がありませんか？」
「……アンタたちがそうやって甘やかすから、Aが我儘になるのよ」
「それはそれは嬉しい限りですね。もっとワガママになって良いんですよ」
そう言ってアズールは俺の顔を覗き込む。もっとって言われてもよく分からないな。どうすれば良いんだろ。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年1月31日 0時
