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今回のテスト対象はAクラスで要注意な個体だとオルト・シュラウドが言う。普段は頑丈な収容ケージの中で凍結されているみたいだ。
「さらに、父さんがベースを作り、6年前に兄さんが完成させた防衛システム『ケルベロス・システム』がある。万が一の時も、安心、安全さ！」
「カイワレ大根が完成させた防衛システムだぁ？」
「逆に不安を感じるけど……」
「えーっ、なんで！？」
「イデアさんが作ったやつだったら心配はいらないな」
小さく呟けば、他の奴らの視線が俺に向かう。怪訝な顔をすれば、オルト・シュラウドが大きく頷いた。
「A・マクミランさんの言う通り！伝説に残る『死者の国』の番犬・ケルベロスの名を冠するにふさわしい、完成度の高さなんだから！」
「タルタロスだけにとどまらず、この島全体のセキュリティを全てカバーしてるだけでも凄いのに、非常時には無人でも3つのブレインが議決した最善の方法で敵を……」
「あ、あ〜〜、オルト。ストップ。皆さん、そういう話ミリも興味がないと思うんで……」
咳払いをしたイデアさんはこの部屋で大人しく時間を潰すように言い渡す。少し考え込んだアズールはイデアさんを引き止めた。
「イデアさん、僕とAだけ違う部屋に移動させてください」
「もう館内の扉は施錠されてるから無理」
「チッ。では、せめて暇潰しできるものをなにか提供してください」
どうして？アズールの手を引っ張ってそう聞けば、額に口付けられる。思わず笑みがこぼれて、どうしてだとかどうでもよくなった。アズールの肩に頭を置いてアズールの手を弄んでいると、アズールが俺にだけ聞こえるように小声で呟く。
「人目があると存分にいちゃつけないでしょう？」
「そういうことだったの？」
「僕はいつでもAに触れたいと思ってるんですよ」
握っている手に力を込めたアズール。不思議に思ってアズールを窺い見ると、目が合って照れくさくて微笑む。空いてる手で頬を撫でられて目を閉じた。吐息が近づいてキスされると思った瞬間、オルト・シュラウドが大きな声を出す。
「みなさーん、ちゅうもーく！」
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作者名：怜
| 作成日時：2022年1月31日 0時
