ななじゅういち ページ23
観客席に向かって歩いていく。
暇だからこの先ずっと観客席の方にいようかな。別に実況席にいなきゃいけないわけでもないし。
ぼんやり、ふらふら、そんなふうに歩いて。数メートル先から熱を感じた。
顔を上げると燃え盛る炎を身にまとったヒーローが。怖い顔をして、立っていた。
話しかけたいとも思わなかったから、そのまま素通りをしようとした時、その人は口を開く。
｢おまえ、“個性”は。さっき見せた炎だけか｣
威厳たっぷりで、その声色は偏執的だった。
嫌だな、こういう人は苦手なんだ。
｢“個性”は悪魔です｣
随分高い位置にある目を睨むように見つめる。ただひたすらに冷たい目だった。
先に逸らしたのはその人だった。鼻を鳴らして去っていく姿に安堵したのも事実。
あの人とは根本的に合わないのだ、とそう実感した。
｢あーっ！A！｣
｢っ三奈ちゃんかー。びっくりした｣
そういえば、控え室が近くにあるんだったな。なるほど、そろそろ三奈ちゃんの番になるんだ。
｢ここで何してるの？｣
｢観客席に行く途中なだけだよ｣
緊張とわくわくが入り交じったような表情の三奈ちゃんは頑張るから！と大きな声を上げて、控え室の方へ歩いていった。
よし！三奈ちゃんの試合見るためにも、早く観客席の方に行かないとね。
さっきまでの嫌な気分を首を振って追い出す。未だに視界の端で炎がチラついて見えて、ため息をついた。
轟くんが左を使わない理由が理解できた気がする。わたしだってあんな人が親なら、きっとヒーローは目指さなかった。
轟くんの垣間の闇、その真髄。
見ないふりでいたいなんて、遅すぎた。
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怜(プロフ) - 燐檎さん» 遠い昔にアニメを少し見ていました！しかし青エクを参考にしたものではないので、ご安心を！応援ありがとうございます！今後ともよろしくお願いします！ (2019年12月30日 14時) (
レス) id: f9826c0595 (このIDを非表示/違反報告)
燐檎 - 面白い…!!いや、青エク知ってる!?知らないかな…?降魔とか、色々…。なんとなくだけどね。とにかくめちゃ面白い!!頑張って!! (2019年12月30日 13時) (レス) id: 65a61e2eab (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 桜良さん» ありがとうございます！桜良さんも無理されないよう、程々に頑張ってくださいね！ (2019年1月24日 22時) (レス) id: 0eee0fe024 (このIDを非表示/違反報告)
桜良 - 夢主ちゃん、すごい… かっちゃん、やばい… 毎日これ読むの楽しみに働いてます！笑 どうかご無理なさらず頑張ってください♪ (2019年1月24日 17時) (レス) id: 35ae6c9810 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - ゆももも。さん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2018年10月20日 22時) (レス) id: 0eee0fe024 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2018年7月30日 21時
