海のギャングと大丈夫 ページ41
side:A
***
イライラが止まらない。なんだっけ?俺を返せだっけ?
「なあ、俺がいつからお前のものになってんだよ」
「そっ、そういうことじゃなくて!」
「じゃあ、なに?」
薄らと頬を染めた監督生。場違いな反応にムカついて、頭がどうにかなりそうだ。
殴らないように手を握りしめる。爪が皮膚を破る音が体の中で響いた。生温い液体が流れるのも気にせず、監督生を睨む。
ああ、手袋を外しておいて良かった。血って落としづらいからさ。
どこか冷静な頭も、今すぐそいつを殴れって指令を出す。床を汚していく血は赤黒く変色した。
「だ、だって!Aさん、ずっと帰ってこないから、この人たちに離してもらえないんだと」
「へえ。俺がそう言ったの?」
「ちが、いますけど……でも!」
「うっざ、なにそれ。俺は好きでここにいるのに?くっそ萎えるんだけど」
言葉が荒いだとか、どうでもいい。殴ってないだけマシだろ。
冷静になりたいのに、監督生が一言発するたびに冷静さを欠いていく。本当、何様なんだよ。俺のこと勝手に分かった気分になって。三人の方が分かってくれてるんだけど。
ああ、本当にこいつは俺と同郷なのか?こんなに話を聞かない奴が?冗談だろ。ありえない。
全身の血が沸騰して、アズールの契約とかどうでもよくなって。今すぐ殺してやらなくちゃ、とか。らしくないって分かってる。俺が遊んでも、殺すまでは至らない。
知ってるんだ。自分らしくないこと。
「シャーチちゃん。大丈夫だよぉ」
「怪我の手当てをしましょうか」
視界が真っ黒になる。いつもの冷たい手が俺の目を覆うように重ねられて、俺の手を取った。耳朶に触れるくらい近い唇から、大丈夫大丈夫と優しい声が鼓膜を震わせる。
大丈夫、じゃない。だって。だって……。
本当に大丈夫?俺、まだ何もしてないじゃん。
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怜(プロフ) - ララーサさん» ありがとうございます〜!更新頑張りますね! (2021年1月6日 17時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ヤンデレ最高♪僕的にはもっと狂ってほしいですね♪ (2021年1月6日 0時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ズブズブ、オクタ色に染まっていくのを見るのちょー楽しい♪男主君の性格が悪くなるのも面白すぎ♪ (2021年1月6日 0時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - パーソナリティーは殴りあわない!!さん» ありがとうございます!!更新頑張りますね! (2020年9月3日 19時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
パーソナリティーは殴りあわない!! - えー!待って最高控えめにいってもどう足掻いても最高大好きです!応援してます!!! (2020年9月3日 7時) (レス) id: 0f8c4e7ebd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2020年6月6日 15時