魔力よりタバコをくれ 三本目【ツイステ】

今夜の対価と疲労 ページ21

side：A

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アズールの部屋にノックをして入る。既に部屋着に着替えているアズールは珍しくて、目を丸くした。
あの、仕事の鬼がこんな早い時間からもう休む準備をしてるなんて……。


「そんなところに立ってないで、こちらへ来たらどうです？」


とりあえず頷いて、アズールの隣に座る。すると、すぐに抱きしめられた。

あれ？俺って対価を払うために来たんじゃ……？これが対価になるの？てっきり、書類整理とかかと……。


ぎゅう、と力を込めるアズール。それでも、フロイドよりは可愛らしいものだ。そっと背中に手を回して、優しく抱きしめ返した。


「どうした？疲れた？」

「ほんの少し」

「アズールも人のこと言えないな」


散々人に休めって言っておいて、自分はこんなふうになるまで休もうとしない。
頭を撫でて、背中をぽんぽんと優しく叩く。力が抜けていくアズールは随分とリラックスできてるみたいだ。

こうやって頼られるのも悪くない。いつも助けてもらってばかりだから。少しでも返せるように。俺があげられるものなんて、何もないけど。この体とタバコしか持たずこっちの世界に来たから、あげられるものなんて俺とタバコしかない。
それでも、いいなら。


「アズール、お疲れ様」

「はい」

「よく頑張りました。今日は早めに寝ろよ」

「分かってますよ」


これから忙しくなるだろうから、少しでも休めるように。
こめかみにキスをして、いいこ、と囁く。耳まで赤くなったアズールに吹き出した。


「笑わないでくださいよ！」

「いや、いっつもそっちがやってることなのに、やられたら照れるのか、と思ったらつい」

「それはそれでしょう！もう！」


拗ねたように顔を埋めたアズールは仕返しとばかりに、肩に頭突きしてくる。痛い痛いって笑いながら声を上げて、乱暴に頭を撫でた。

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