魔力よりタバコをくれ 二本目【ツイステ】

ウツボの嗅覚と機嫌が良い日 ページ41

多忙だという学園長と別れて、フラフラと校内を歩く。目的がないなら、寮へ戻れば良い、とは思うんだけど。気分じゃないし。行き着く先は中庭。
もはや喫煙は癖だ。

ぷかぷか煙を吹かしていると、全部大丈夫になる気がした。何が不安っていうわけでもないけど。落ち着く。


「まぁたタバコ吸ってる〜」

「毎回思うけど、よく俺の居場所が分かるな」

「タバコ吸ってるとすげー分かりやすいよ」


フロイドが隣に座ってそう言う。そういえば、ウツボも嗅覚が優れてるんだったな。
なら、タバコの臭いはキツいだろうに。率先して会いに来るのはなんでだ。

隣を見れば、やけに上機嫌で。今日は特別機嫌が良い日なんだろうな。


「そういえば、マジフトの出場選手、」

「オレが書いた〜」

「………素直でよろしい」


ニッと笑って、自白するフロイド。先手を打たれて何も言えなくなった。頭を掻いて、どう言おうか悩んでいると、フロイドが低い声を出す。


「嫌なの？」

「いや。マジフト、1回やってみたかったし。別に気にしてないけど」

「けど？」

「アズールが困ってたから」


きょとん、と呆けるフロイド。
本当に、マジフトに出るのはなんら問題もない。タバコ吸ってるのが中継されたらちょっとやばいかもしれないけど。ユニーク魔法だから、許されるだろうし。
それに。


「フロイドと一緒にできるなら、楽しいだろうし」

「……そっか。そっか〜」


花が咲いたように笑った。それはもう嬉しそうに。
そのまま抱きしめてくるフロイド。危ないから、とタバコを消した。

そんなに嬉しいのか。レオナ・キングスカラーに返事をしなくて正解だったな。


「シャチちゃんとマジフト、ちょー楽しみ！はやく大会になんねーかな」

「当日サボるなよ」

「ぜぇったいサボんない。だってこんなに楽しみなんだもん」

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