魔力よりタバコをくれ 二本目【ツイステ】

帰ってこない彼と不安 ページ16

side：ユウ

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鏡舎でAさんと別れてから、トレイ先輩に会って。リドル先輩について聞いて。学園長から決闘の話を聞いて。決闘をするってエースとデュースが言って。

エースとデュースとグリムと僕の4人で寮に戻ってくる。

作戦会議をしているのに、どこか上の空の僕を、デュースは心配そうに見る。3人は知らないだろうけど、Aさんはすごく冷たい目をしていた。
普段の優しいAさんじゃなくて。失望したってありありと伝わってくる、あの底冷えするような目。

誰かと比べて、お前はダメだって言われているような気持ちになった。


異世界人の僕を当たり前のように受け入れてくれたAさんと近づくなって恐れられてるAさんが初めて、僕の中で合致する。

ひどく寂しくなって、今すぐ会いたくなった。



でも、夜になってもAさんは帰ってこなくて。お腹が空いたってグリムが言うから、慣れない料理をする。Aさんみたいにうまくいかなくて、やだなあって自己嫌悪。
全部やってくれてたこと。自分でやってみて、初めて分かった。ずっと甘えてたんだって。

当然のようにご飯を作ってくれて。今まで1人だった空間に知らない人間を受け入れてくれて。
どれだけ負担になるかなんて、知らなかった。


「監督生、ポストにこれが入ってた」

「なんだろう？手紙？」


エースから渡された封筒を見る。開いてみると、差出人は書いてなかった。

『Aが熱を出したので、預かります。暫くは帰ってこないと思っていてください』

それだけ。たった、それだけ。
どこにいるかも、どうして熱が出たのかも、書いてない。


Aさんが遠い。おかしいな。あんなに近かったはずなのに。

貸しだって言って、僕たちを守ってくれたんだ。
どんどん戦闘にのめり込んでいくAさんが怖くて、止めちゃったんだ。

謝りたいのになあ。


「監督生、もう寝ろ。明日は決戦日だ」

「……うん。おやすみ」


ベッドに潜り込んで、目を瞑る。
今日はグリムも静かだった。

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