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私から離れた隼くんとじっと目が合う。
ずっと言葉では 好き って言われてたけど 行動で起こされたのは初めて。
「・・・ごめん、」
隼くんは握っていた私の手首を下ろして、そのまま手を握ってくれた。
『隼くん、手冷たい』
「・・・Aさんだって」
私がふふ、って笑うとつられて隼くんも笑った。
うん。それがいい。隼くんは笑ってた方がいい。
怒ってても泣いてても隼くんにはずっと笑っててほしい。
私はこういう時どうしたらいいか分からない。
恋愛なんてしたことないし、ましてやキスなんて・・・
『・・・わ、』
「・・・え?」
『・・・ふぁーすと、きす、』
「・・・え、嘘でしょ?え、いや、ごめん、ごめんなさい、Aさん!」
『え、あ、いや、そんな!謝らないで!私のファーストキス、・・・隼くんでよかったよ、』
とぼけた顔で私を見つめる隼くんが面白くてついつい笑ってしまった。
思わず隼くんの頬に当てた私の手のひら。
普段こんなことしないのに、らしくない。
でもね、少しだけ嬉しかったんだ。なんでかは分からないけど。
ファーストキス、隼くんでよかったって本当に思ってるんだよ?
「・・・Aさん?」
『ん?』
「俺のこと好きになりました?」
『ふふ、さあ?』
「またそうやってごまかす・・・」
『好きになったらちゃんと好きって言うもん』
「え、?」
『だからまだ言えないけど・・・』
頬に当てた手で少しだけ顔を近づけて、ほっぺにひとつキスを落とした。
『・・・今日はこれで許して?』
暗くてもわかるの。隼くんのほっぺが赤くなっていくの。わかりやすい人だなぁ、なんて思いながらきっと私の気持ちは半分ぐらい隼くんに寄ってるの。半分ぐらい。半分ぐらいだよ?
「・・・許します。」
『ふふ、お家まで変な人に連れてかれないように送ってください』
「もちろんです」
でも、今はこの関係が一番落ち着くの。
ぎゅっ、と握る力が強くなった手。
隼くん、意外とピュアでかわいいなぁ、なんて。
言われたら怒るから絶対言わないけど。
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くるみ。(プロフ) - 彩華さん» わー!ありがとうございます! (2020年4月16日 9時) (レス) id: dcb2ebda86 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 早速読んじゃいました!アマリリス(^_^)こっちもとっても素敵なお話でした!続編楽しみです! (2020年4月16日 5時) (レス) id: 303c26c9ac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ。(プロフ) - 愛さん» あらあら笑 (2018年12月26日 20時) (レス) id: dcb2ebda86 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 北人くんともくっついて欲しくなりました(笑) (2018年12月26日 2時) (レス) id: d15d3a289f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ。 | 作成日時:2018年9月12日 5時