アマリリス (ページ19)

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本当のことページ19

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事務所にコーヒーを届けに行った日から数日。
私は隼くんから呼び出し。
話しなら哲也さんのカフェでいいじゃん、って提案したら2人じゃないとダメ、と江ノ島の海の見えるおしゃれなカフェまで来た。

『こんにちは、隼くん』

「こんにちは」

カウンター席に座った私たち。
頼んだコーヒーを1口飲んだ隼くんは、私の方を向いて首元に手を当てた。

『･･･っ、』

私の肌に触れて、なぞられる隼くんの指。
くすぐったくて、不思議な気持ちになって、肩がビクッ、となった。

「･･･Aさん、」

『･･･はい』

「･･･Aさんは誰のもの、？」

『･･･え？』

前を向き直してはぁ、とため息ついた隼くん。
私、何かした？

「今日のAさんはちゃんとAさんの匂いがする。なのに、この間会った時は違った。俺の知ってる男の匂い。」

『･･･隼くん、？』

「Aさん、気づいてないかもだけど首元にアザもついてる。教えてあげようか？そのアザの名前。」

頬杖をついて私の方に顔すら向けてくれなくなった彼はボソッ、と呟いた。

「･･･キスマーク、って言うんだよ、」

『･･･えっ、』

咄嗟に手のひらをあてた首元。
さっき隼くんが見てたのはこの痕だ。
やだ、恥ずかしい。誰につけられたの。

･･････あ、

「あの日、誰かに抱きしめられたりしたでしょ」

あの日。
私が廊下を歩いていて急に腕を引っ張った人。

龍友さん。

私は隼くんに内緒にしている龍友さんのこと。
カフェに来ていることも、壁ドン、されたこと。

ねぇ、これをいってしまったら私と隼くんの関係は壊れてしまう？

でも、私と隼くんの関係、って？
私は何を恐れて龍友さんのことを隠してるの？

龍友さんはなんでこんなことしたの？
隼くんはどうして目を見てくれないの。こっちを向いてくれないの？

･･･もう、全部わからないよ。

『･･･隼くん、』

「俺は好きなんだよ、本気でAさんのこと。遊びとかじゃないから、本当だから。だから、些細なことでも気にしちゃうんだよ。ねぇ、Aさん、」

私は気づいたら隼くんを抱きしめていた。
公共の場で何をしてるのかは十分分かっている。
だけど、隼くんが本気なら何も隠しちゃいけない。ちゃんと全部伝えてあげなきゃ。

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