why (ページ28) - 小説/夢小説

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「カカシさん、ありがとうございます。もう大丈夫です。」
そう言いながら少し体を離し顔をあげた。

「うん、そのようだね。」
「、、、カカシさん。私の、話を聞いてくれますか？」
「あぁ、もちろんだよ。」

そう言って微笑んでくれた。Aはこんなところを見られて話さない訳にはいかないと思ったのだ。

「私と、親戚との、話です。」
トラウマなのせいか、Aはぽつりぽつりと話をし始めた。2人でベッドに背を預け並んで話を聞く事にした。

「私はここに来る前、学校では動物に好かれるというだけで気味悪がられ、家ではストレス発散の捌け口でした。親戚の親も子も嫌な事があれば手をあげられました。それはちょっとした事で。今日は1日何も面白くなかったなどの理由で。」
「、、、。」
理不尽さに怒りを覚えながら黙って聞いていたカカシ。

「それで私は何もかも嫌になりひたすら走りました。どこに行くでもなくただひたすら遠くに。たどり着いたのはとあるビルの屋上でした。
その屋上から見る景色は夕暮れ時でとても綺麗だった。本当はそこから身を投げ出したかったけど、その景色の、世界の綺麗さに体は動かなくなって。
気がつけば帰り道をとぼとぼ歩いていた。あぁ。またあの家に帰らなくてはと思ったら誰かに背中を押されたんです。」
言えなくてすみません。と続けたAに大丈夫と頭を撫でた。

「、、、良かったよ。Aが思い留まってくれて。」
「それ、楼にも言われました。」
「あの鹿が？？」
「どうやら楼は触れれば過去がわかるみたいで。」
そうだったのか。奈良家の鹿のためあまり知らない情報だな。でもAの力が関係しているのかもしれないなともカカシは思う

「でも、思い留まったというか、自分の小ささと世界の美しさにただ動けなかっただけです。私が死んでも悲しむ人なんていないし。ここに来て、山賊に合って殺してくれるかもと思い、実は付いて行った形ではあったんです。」
「、、、。」

「楼の死は周りの皆んなが悲しみ、楼は幸せそうに眠ってしまいました。私は、どこか羨ましかったです。」
「あのさ。」
カカシは黙って聞いていたが、黙っていられないとでも言うように切り出した。