終演 ページ20
「起きよ。おい、起きぬか華苑」
英雄王の声がして、目を開けた。そこは焦げ臭くて熱い。体を起こせば、周りは火の海だった。英雄王は何故か裸だったので、急いで目を逸らした。
「一体…何が、あったんですか？聖杯は、どこに」
上だ、と示された空には穴があった。ポッカリと空に開いた穴から、止めどなく泥が流れている。
「…あれ、全部…呪い？」
「そのようだ。あんなものが万能の願望器とな…我が宝ながら笑わせてくれる。ところで、貴様、何か気付かぬか？」
何か？自分の周りや体を見て、驚いた。
「嘘…令呪が、無い？」
身体中に蔓延っていた令呪が、綺麗さっぱり消えていたのだ。霊体化も出来ず、痛みだってある。令呪で齎された効果まで無くなっている。
「聖杯とやらの泥を浴びた事で、令呪が回収されたと見るのが妥当だろう。魔力のパスは繋がったままだがな。我も、受肉しているようだ」
この世で一番受肉しちゃいけない種の英霊である気がするのは、気の所為では無いな。うん。聞けば、セイバーのマスターが令呪でエクスカリバーを発動させ、聖杯を叩き斬ったが、その所為で呪いの泥が街を飲み込み、焼き払ったと。衛宮切嗣は、聖杯の破壊が目的だった訳か。
「…ここは」
「！言峰さん！」
私が寝かされていた瓦礫の山から滑り降りて、割と寝やすそうな石の上に横たわっていた言峰さんの下に駆け寄った。
「華苑？私は…」
「つくづく世話の焼ける男だ。瓦礫の下から貴様を掘り当てるのは、難儀であったぞ」
「ギルガメッシュ…何があった」
「さてな。あの泥が我を吐き戻したのだ。どうやら再び地上を治めよという天意らしい」
「受肉を果たしたのか」
「業腹だがな。そこの華苑も、聖杯の力を受けた。見てみろ、体に刻まれていた令呪が、綺麗さっぱり消えておる」
焼け爛れた服の隙間から、その事は容易に窺える。
「私は…撃たれた……！鼓動が、無い。私に何か、治療を施したのか？」
「さあな。見た所死んでいるようだが？お前は我と契約で繋がっていた。そして華苑もな。だから命があるのではないか？」
そーゆうものかね。というか、服を着てくれ。
「ともあれ聖杯を勝ち取ったのは我々だ。その結果を刮目して見よ！聖杯が真に勝者の願望を叶えるのなら、言峰綺礼、この景色こそ！貴様の望みだ」
この景色が、言峰さんの理想？私も言峰さんも周りを見回して唖然とする。言峰さんに至っては、気が狂ったように、笑い出した。
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まつよ - 面白かったです。是非、ステイナイトの時の主人公を見てみたいです。 (2019年5月29日 21時) (
レス) id: 4baad1a05f (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月10日 15時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華苑 | 作成日時：2019年5月10日 11時
