Stay(フレッド) ページ33
.
夜中、時計の針も見えない暗闇の中でフレッドは目を覚ました。
あの夏から夢にはよくAが出てきて、どんな内容の夢でも最後には必ずAが去っていこうとする。それを呼び止めるたびに、フレッドは現実世界で飛び起きた。
｢A｣
唇だけ動かして懐かしい人の名前を呼んでみる。
どこからが間違いだったのか、フレッドにはもう分からないでいる。
名前を呼んでみたせいか、もう一度眠りにつこうと目を閉じるとAの顔が浮かぶ。
いや、名前を呼ばずとも毎晩眠りにつく前に思うのはAのことばかりだ。
フレッドがAからの好意に気づいたのは夏休み、泊まりに来ていた時だった。
仮眠を取ろうとAの隣で寝ていると、くすぐったさで眠りから覚めたのを覚えている。薄目を開けて見ると、同じように寝転がったAが楽しそうな顔でいたずらをしていたから驚かそうと思ってフレッドは狸寝入りを決めた。
どのタイミングがいいかを考えていた時に、ふいに唇に感触があってフレッドが驚いて目を開くと、間近にAのまつ毛があった。
Aは目を閉じていたので、まさかフレッドが起きていたなんて思いもしなかったのだろう。
これまで妹のように思っていたAが、自分のことを異性として見ていたなんて思ってもいなかった。
そしてやっぱり、フレッドはAのことを可愛い妹分としか思えなかった。
ただ、Aが泣きながら辛かった過去を打ち明けてくれた時に少しの変化がフレッドに訪れる。
涙を流すAに胸が痛くなったし、守ってあげたいという感情が湧きあがったが、これが異性に対してなのかが分からずにいたフレッドは、新学期に入ったところで告白しにきたアンジェリーナに頷いたのだ。
他の子と付き合ってみて、Aへの感情を分析してみようと。
そのことがAを傷つけるとまでは考えもせずに。
｢テイラーに近づかないで｣
｢どうして？｣
付き合い始めると、アンジェリーナは最初にそう言った。
｢あの子が好きじゃない。当たり前みたいな顔してあなたの近くにいるじゃない｣
｢嫉妬してんの？妹みたいなもんさ｣
｢フレッドはそうでもテイラーはそうじゃないかも知れないでしょ！あなたが相手する必要はないの！｣
思った以上にヒステリックになったアンジェリーナを落ち着かせるのに、フレッドはあの手この手と自分でも胸焼けがしそうな甘いセリフを言うハメになる。
相手を間違ったと、フレッドは後悔しそうになった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 615人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらたまコ(プロフ) - ひまわり。さん» ありがとうございます！とても嬉しいです＼(^^)／最後までちゃんと書き上げたいと思います！ (2021年10月3日 1時) (
レス) id: c3dd0cadc5 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり。(プロフ) - すごく好きです！更新楽しみにしています(o^^o) (2021年10月1日 18時) (レス) @page24 id: 0e882bf437 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しらたまコ | 作成日時：2021年9月24日 13時
