食卓の駆け引き ページ18
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｢今日はどうだった？｣
夕食時、いつものように尋ねてきたピーターにAの手が止まる。
｢アダムが、アダムっていう子がいるんですけど｣
なるべく平静を保って、手の動きを再開させながらAはピーターを見た。
｢いつもは私の認識番号しか言わないんですけど、今日違う言葉を言ったんですよ｣
｢なんて？｣
｢22194｣
｢ふぅん。それがどうしたの？｣
｢ちょっと寂しくて｣
拗ねたように唇を尖らせると、ピーターが笑った。
｢懐いてたのに、ちょっとジェラシーっていうか｣
｢あはは、Aは面白いね。食幼児に嫉妬なんて｣
｢そうですか？｣
｢22194は私がAの前に迎えた子だね｣
｢ピーターさんが？｣
｢君と同じGF出身の子だよ。ノーマンって言うんだけど、覚えてる？｣
｢ノーマンが！｣
わざと驚いた風に返す。
これで確信に変わった。
｢もちろん覚えてますよ。だから22194も聞き覚えがあったんだ｣
最後は独り言のようにして、ピーターへ不信感を与えないように気を配る。
｢懐かしい？｣
｢そうですね。やっぱり施設にいた頃は楽しかったですから｣
｢会わせてあげようか？｣
｢どっちでもいいです。そんなことより、ピーターさんを取られないようにしないと｣
Aが微笑めば、一瞬目を丸くしてピーターも微笑む。
｢Aは本当に可愛いな。大丈夫、特別な扱いは君だけだよ｣
ピーターはAのことを可愛がっているし、Aもそれを分かっている。
ノーマンへの気持ちも、本当は死ぬほど会いたいという気持ちも悟られてはいけない。
｢私がこんな自由に暮らせてるのはピーターさんのおかげですもん｣
｢あはは、飼育監なんて目指さずに私の子を産んで欲しいくらいだ｣
｢あら、私にまだそんな年じゃないって言ったの誰でしたっけ？｣
和やかに食事を終え、仕事に戻るピーターを見送る。
Aはそのまま自室に戻らず、施設へと足を向けた。
どこに行く宛もなく、ただ歩き回る。
マジックミラーのおかげで、こちらから部屋の中は見えないけれど中からは見えている。
このどこかにノーマンがいる。
どこに？
どこの部屋に？
結局Aはその足でアダムに会いに向かった。
部屋に入るなり、Aに気づいたアダムが寄ってくる。
｢22194･･･｣
｢そう、22194。あなたノーマンを見たのね。教えてくれてありがとう｣
アダムの手に触れたAの頬に涙が伝った。
20190610
時系列がちょっとおかしいことに今更気付いてどうしよう･･･
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おん - もうやめましたか…？ (2020年8月10日 14時) (
レス) id: 79df10e130 (このIDを非表示/違反報告)
レンリ - 戻って来て下さい！ (2020年8月9日 9時) (レス) id: cff600fdbd (このIDを非表示/違反報告)
奈津子(プロフ) - 更新お願いします！ (2020年5月10日 0時) (レス) id: 55bc886d22 (このIDを非表示/違反報告)
沙綾 - 新刊発売されてま〜す。続き楽しみにしてます。 (2019年12月14日 23時) (携帯から) (レス) id: cbd580bb22 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまコ(プロフ) - もちもち桜餅さん» お返事遅くなってすみません(><)ちょうど再会編に手を出していたので、書き終わってからお返事しようと思っていました！無事に円満な再会を書けたので安心して読んでください(><) (2019年6月21日 1時) (レス) id: 579bce1089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらたまコ | 作成日時：2019年5月24日 1時
