_新一side ページ8
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新一side
門前払いされる覚悟で店に訪れたが
この店のオーナー、沢木さんは快く俺を店内へと招き入れてくれた。
中学生である俺に対し迷惑がることなく、むしろ丁寧に対応してくれた沢木さんに、好感を持ったのは言うまでもない。
沢木「どうぞ、ハーブティーです。」
新一「ありがとうございます。」
カップに口をつけようとしたが、俺はすぐにティーカップに目線を落とした。
沢木「おや、ハーブティーは嫌いだったかな?」
新一「いえ、…もしかしてこの器、ウェッジウッドのものですか?」
沢木「驚いた。その歳でこの器の価値が分かるとは…君は博識なんだね。」
スゲェ…!ウェッジウッドといえば英国王室御用達の高級ブランドの食器メーカーじゃねぇか。
ティーカップに感動しつつも、出したものに口をつけないのは流石に失礼かと思い、少し苦手意識のあるハーブティーをグイッと一口飲んだ。
新一「……美味しい。」
沢木「口に合ったようで良かったよ。実はこのハーブティー、私の手作りなんだ。」
ハーブ独特のえぐみも無く美味しい。これなら俺でも飲める…!!
てっきりどこかの高級なハーブティーかと思た…手作りの域超えてねぇか?
母さんが趣味で作ったのとは雲泥の差だな。
新一「あれ、でもここはフランス料理を出しているレストランですよね?」
沢木「えぇ、まだオープンしてはいないが、その予定だよ。」
新一「なら、どうしてイギリスの食器を集めているんですか?」
沢木「私はホームズシリーズの愛読者でね。その小説に登場する菓子や茶の文化にのめり込んでしまった結果がコレさ」
新一「ホームズ好きなんですか!?俺もシャーロキアンなんです!」
イギリスかぶれの両親の影響に加え、シャーロキアンである俺は、沢木さんとイギリス談議に花を咲かせた。
話し込んでいると、何か料理の仕込みをしていたのか、厨房からオーブンの焼き上がりを知らせる音が聞こえた。
沢木「試作品のクッキーが焼き上がったようだ。もし良ければ、博識な知識と舌を持つ君に試食して貰いたいのだけれど…いいかな?」
新一「もちろんです。頂きます!」
厨房へ入って行った沢木さんの後ろ姿を見送ると、俺はソファーの背もたれに身を預けた。
その瞬間、どっと眠気が襲ってきた。
あれ、昨日早く寝たはずなのにおかしいな…まぶたが重い…
ダメだ…ここで寝たら……
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仮面タロウ(プロフ) - 作者の仮面タロウです。たくさんのコメントありがとうございました!長い間返信しきれずすみません。実は私のうっかりで占ツクにログインできなくなってしまい更新出来ずにいました。移行にご不便かけますがよろしくお願いします。 (2022年4月25日 12時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
侑(プロフ) - 続きが気になりすぎます、!待ってます (2022年4月1日 1時) (レス) @page33 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 仮面タロウさんのお話、めちゃくちゃ面白くて大好きです!特に好きなのは工藤姉は弟が嫌い!シリーズとミスポッターシリーズです。更新頑張ってください‼︎ (2021年12月31日 23時) (レス) @page33 id: cf1d4c666e (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2021年5月4日 20時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
心夜 - ハリー・ポッターだけでなく名探偵コナンの夢小説まで書けるとは。素晴らしいです!どちらも大好きなので無理せず書いて頂いたら嬉しいです! (2021年2月17日 21時) (レス) id: d958da9fc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2019年11月27日 18時