移行しました(工藤姉は弟がキライ５)

遭難5日目 ページ20

貴方side


遭難して5日目

ここ最近の天気とは打って変わり
今日は快晴


これなら下山しても問題なさそうだなぁ、と考えていれば、山小屋の外からヘリコプターの音が聞こえた。




『…敵？』

「兄貴、様子見てきやす。」

「まてウォッカ、あれはおそらく──ッ、」




兄さんが椅子から立ち上がろうと右足を踏み込み、バランスを崩した。

咄嗟に私は彼の右側にまわり、抱きしめるように支える。


ゔぅ…やっぱり重い。

まだ足の指が無い感覚が慣れないのに、急に動いちゃ駄目でしょ…


ウォッカさんに無駄な心配させないように杖すら持とうとしない兄さんに、思わずため息が溢れる。




「兄貴！大丈夫ですかい！？」

「ックク、そう物欲しそうな顔すんじゃねぇよ。A」

『……それ、他でやったらいくら兄さんでも怒りますからね。』




確かに今の体勢だと、ソファーを立とうとした兄さんを私が引き留めたように見える。

咄嗟に誤魔化したが良いが、そんな私たちを怪訝そうに見ているウォッカさん


バレるのも時間の問題だな。




外に出てみれば、組織が所有しているヘリコプターが飛んでいた。

そのヘリを操縦していたのは…




「ハァイ、久しぶりねA！」

『ベル！』




組織の女幹部ベルモットだった。

雪上では着陸出来ないので、低空飛行のまま降ろされたロープで巻き上げられ、無事私たちは救助された。




これで雪山生活も終わりだ…

無事助けられた安心感で、へなへなと体から力から抜ける。


ウォッカさんが「お疲れさん」と一言添え毛布を肩にかけてくれた。

ママン…！！

ボスからの指名→←あらすじと設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す