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貴方side
ある所に、
猫を殺すのが好きな人間がいた。
猫と仲良くなってから殺す悪趣味な男さ。
その人間から猫たちを守る為に、
猫好きの男は、猫を蹴飛ばし傷付けた。
自分が傷付けることによって、人間に近付かせないようにしたんだ。
そうして結果的に、猫を救いましたとさ
めでたし、めでたし
「…猫好きな彼は哀れね。そんな事実を知らない猫は本能的に近寄らなくなる。恨みもするでしょう。」
『あぁ、…それでも男は、猫がイジメられていれば当然のように助け、真実を伝えずに去ってゆく。』
『そして男は、猫を蹴った後悔と共に、他人には一切与えず、自分自身の中で抱え込んでしまうのさ。』
…さも当然かのようにね。
「そうやって、自分一人だけで背負い込んで、解決させるなんて、卑怯な男ね。」
『哀は、その男が卑怯だと思うのか。』
「ええ、助けてくれたことに関しては、猫は感謝すると思うけれど、それを全て背負おうとするなんて、傲慢だわ。」
『傲慢…確かにね。』
「確かに、その人間に裏切られた事実を猫が知れば、ショックだと思うわ。でも、時には残酷な現実でも、相手にとっては大切な“感情”のひとつよ。突き放すことによって、それすらもさせて貰えないなんて…」
『それでも俺は、その男が嫌いになれない。
…哀もそうだろう?』
彼女は、《卑怯》《傲慢》だと言ったが、
“嫌い”だと、拒絶はしていない。
だって、今まで話した事全て、その男の優しさからなのだから。
「……きっと、その彼は、認めてくれるでしょうね。私が認めたくない、自分の弱さを、全て。」
『あぁ、男はきっと否定も肯定もせず、受け入れてくれるだろう。
…だが、男の“優しさ”に甘えてしまえば、自分の弱さを強さに変えられないだろうな。』
「……残酷ね。」
『そう。男は卑怯で傲慢でいて、優しい。そして残酷だ。…俺はそんな不器用な男が嫌いになれないんだ。』
嫌いになれたら、楽なんだろうけどね。
喋り過ぎてカラカラになってしまった喉を、ぬるくなってしまった紅茶で潤す。
『受け入れろとは言わない。けれど、そんな哀れな男が、もし哀の身近にいるのなら、拒絶はしないで欲しい。』
「……考えておくわ。」
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仮面タロウ(プロフ) - シズキさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(*^^*)何度か見直してるですけど減らなくて…、更新頑張ります! (2019年11月29日 23時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
シズキ(プロフ) - 仮面タロウさん» 凄く面白いですっ!!シリアスのようでユーモア溢れた会話やストーリ本当好きです!誰だって誤字はありますよ〜。これからも応援していますっ!! (2019年11月29日 22時) (レス) id: 0b065aa661 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます( ;∀;) (2019年11月27日 18時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 32話に誤字がありました。「手見上げ」ではなく、「手土産」です。 (2019年11月24日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます! (2019年11月23日 19時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2019年11月9日 14時