絶対にクビにしてやる１【名探偵コナン】【降谷零】

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そこのお兄さん。






沖矢は、声をかけられたかと思い振り返るが、誰もいない。

気の所為かと思い歩き出そうとすると







お兄さん。







また聞こえた。

焦って辺りを見渡すと、足元から視線を感じる。



ゆっくりと目線を下におろすと、
道端の排水溝の中から…








『ハァイ、お兄さん』


＿＿“それ”が見えたら、終わり。







排水溝の暗闇から浮かび上がる人の顔

沖矢は、驚きのあまり目を見開き、胸元にしまわれた銃に手を伸ばそうとするが、それをぐっと我慢する。







『手が塞がって、出れないんだ。コレ取ってくれないかな？』







手には、赤い車のラジコン
それを持っている人物には、嫌なほど見覚えがあった。

何故なら先ほどまで、コナンと話していた人物なのだから…








『ねぇ、お兄さん。聞こえてる？』








確か、映画の少年は、ピエロの持っている船を取ろうとして…







「あ！お兄ちゃん！ラジコン取ってくれてありがとう！！」


『次から気を付けるんだよ。』








そう言い、映画の少年のようにはならず、普通にラジコンを受け取る少年。








「あ！赤いお兄さんだ！」


「…久しぶりだね。」


『赤いお兄さん？』








排水溝から出てきたAは、そのニックネームに首を傾げる。

以前、少年が住んでいたアパート木馬荘が火事で焼けてしまい、その部屋の隣人が沖矢だったことをAに話した。

“赤い”というのは、少年が車になぞらえて付けているニックネームで、いつも植木に水をあげていたことから、“消防車”の赤からきているらしい。








『へぇ、それは災難だったね。』


「でも、黒白君が解決してくれたんだ！」


『黒白君…？』


「うん！僕のクラスにいる警察の人みたいに事件をたくさん解決しちゃう頭の良い子がいるんだ！」


『警察の人みたいにねぇ…』


「ボウヤ、もう夕方だ。そろそろ親御さんが心配しているんじゃないかな？」


「あ！本当だ！もうこんな時間…僕帰るね！お兄ちゃんラジコン取ってくれてありがとう！！バイバーイ！」


『気を付けてね〜』








帰っていく少年の後ろ姿を見送るAに、「では、私も」と帰ろうとする沖矢だったが、掴まれた腕によりそれは叶わなかった。







『これも何かの縁。自己紹介させてよ。俺は熊狩、赤いお兄さんの名前は？』


「……沖矢昴です。」

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