工藤姉は弟がキライ３【名探偵コナン】

98_ユダの接吻 ページ6

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「彼女が藤峰A？…ジン、どう言うことなんです。」

「そのままの意味ですよ。」



藤峰Aと呼ばれた少女の唇が弧を描く。

腹の内が見えないその笑顔は、この場の雰囲気にピッタリだった。



「私、この国が大嫌いなんですよ。…そんな醜い国の忠犬の最後を見にきただけです。」

「ほぅ、殺しの場を毛嫌いしていた貴方がこんな場所に来るなんて、余程の理由があるようですね。」

「…母親は日本の国民によって殺され、父親は日本の国家によって殺された。そんな国、あるだけ無駄だと思いません？」



バーボンは、彼女の言葉で確証を得た。



「…あぁ、今思い出しましたよ。藤峰A、母親はあの元女優藤峰有希子の姉で、確か父親は警察官という地位を利用して悪事を働いた挙句、最後は国際空港で数百人の民間人を巻き込んで自爆した男…でしたよね？」



Aの父親の件は、日本警察にとって汚点だった。

情報改竄、自白の強要や証拠の捏造、押収した薬物( )の売買。

警察官という立場を利用して、悪行の限りを尽くした男だった。



今から約18年前
公安警察が男を追い詰めた際、事前に爆弾を仕掛けていた国際空港へ逃げ込み、中にいた一般市民もろとも自爆死した。

現役警察官による前代未聞の不祥事

それに対する警察の対応の悪さが露見した事により警察組織への不信感が募り、この事件によって当時の警察への信頼は地に落ちた。



「母親は世間からのバッシングに耐えかねて自ら命を絶ったとか。…ふふ、逆恨みにも程があるんじゃないですか？」

「その父は実は無実で、警察組織によって死に追いやられた。それが真実ならどうします？」

「……とても、事実とは思えませんが。」

「情報屋である貴方でさえ、その事は知らなかったようですね。」



Aは手懐けた狼を撫でながら、悠然と微笑んでみせた。

瓶底のような分厚い眼鏡に阻まれていて、その表情は窺い知れない。



「スコッチさんは、私の父親について勘付いていたようでしたけど？」

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