検索窓
今日:112 hit、昨日:183 hit、合計:110,406 hit

137 ページ45

No side



絶世の美女、ベルモット

女優として、美貌、実力ともに名を馳せ、さらに彼女は賢く聡明だった。


そんな彼女に盲目的になる男も少なくない。

彼女のさりげない一言に、男たちが貢物を持ってくるという事はざらにあった。


そうでなくとも、彼女の裏の顔を知る者達は、利用価値のあるベルモットを懐に収めようと、虎視眈々と狙う者ばかり。

周りにいる取り巻きのような女達も、彼女の恩恵に与ろうとするハイエナのような者がほとんど。


だがAにいたっては、どの人間とも当てはまらなかった。



「…あら?」



バスルームに入れば残りわずかとなっていたヘアケア類が補充されており、出れば冷えたシャンパンが準備されていた。

そのシャンパンとグラスの置かれたテーブルで、カルバドスとAがトランプゲームをしている。



「べ、ベルモット…!!」

「カルバドスも来てたのね。」



バスローブ姿に顔を真っ赤にして目を背けたカルバドスに、まんざらでもなさそうにベルモットはひとりがけのソファーへ腰掛ける。

そんな2人をAはニヤニヤしながら眺めていた。



「何よその顔。」

「なんでもないです〜。」



まぁいいわ、とグラスを手に持ったベルモット。

未だモジモジとしているカルバドスに代わり、Aがシャンパンを注ぐ。



「無償の行使なんて流石ね。どんな下心があるのかしら?」

「色んな角度から放射線撮影もできて、大柄な体格の人でも対応可能な手術台が欲しいですね。」

「なんでシャンプーとシャンパンが高級車一台分の値段に化けるのよ。」



呆れるベルモットに、シャンプー代は組織経費で落としちゃいました☆とウィンクするAにため息が溢れた。


彼女は自分に対して、恩着せがましくなくフランクに接する。

自分より地位も年齢も低く、何よりも組織の自分(ベルモット)を害して旨味を得ようとしないAの存在は、ベルモットの余分な肩の力を抜ける人物だった。

だからこうして、ベルモットのセーフティーハウスに招かれる希少な人間のひとりでもある。



「シャンパンは俺の自腹だ!調子乗るなよA!!」

「準備したのは私です〜。はい、あがり。」

「ああ!?卑怯だぞ!!!」

「っふふ、バカねぇ」



ベルモットにとって、カルバドスとAと過ごす時間は、嫌いじゃなかった。

138→←136



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (133 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1001人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

仮面タロウ(プロフ) - 深月さん» ですよね!!!夜の美術館とか似合いそうだなぁと思って書きました!いつかは夜のシチュエーションも書いてみたいですね(^^) (2022年8月21日 11時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - ジン……!!!!休日に一人で美術館巡っているとか可愛すぎます!そして、わかりみが深いです、ジン美術館好きそう(笑)続き楽しみにしています。 (2022年8月16日 21時) (レス) @page44 id: 8da4958f2c (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 小宮瑠璃さん» 嬉しい…!ありがとうございます!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - あお。さん» コメントありがとうございます!現在元気に3股してます!笑 これから4になるのか、もっと増えるのかは乞うご期待!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - 仮面タロウさん» めっさ楽しみですぅっ!!完結まで私はこの作品を推し続けます!! (2022年7月25日 22時) (レス) id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:仮面タロウ | 作成日時:2022年6月28日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。