113_赤井side ページ21
赤井side
スコッチの偽装死工作を終えた後のことだった。
「こんな所に赤井さんのセーフティハウスがあるとは思えないんですけど…」
真夜中の港に車を停めた俺に、少女は怪訝そうな顔をする。
「連れて行くのは、俺の敵ではないことを証明した後だ。」
「え、スコッチさんは正真正銘の公安の人ですよ?」
「スコッチのことではない…」
懐から出した拳銃をAの眉間へと向けた。
「工藤A、お前は俺の敵か。」
ジンの口振りからして、黒澤Aは仮染めの名だということをヤツは以前から知っていた。
問題は、知ったのが“いつから”だったかだ。
もしもAが故意に情報を漏らしていたのならば、俺もそれ相応の行動をしなければならない。
向けられた銃口に少女は驚きもせず、まるで世間話でもするかのように答えた。
「私も今日聞いてビックリしたんですけど、アメリカの病院で会った時に顔を見られていたみたいで、私の身元を知っていた上で拉致したみたいです。」
「………つまり、最初からお前の素性はバレてたと言うことか。」
「はい。」
「
ジンが実家から離れていない場所にAを置いたのも、少女の出方を探るのと同時に脅していたのか。
──いつでも、お前の大切なものを壊せるのだ。と
「‥.俺は知らぬ間に、ヤツの卓上で踊らされていたのか。」
ジンという男を侮ってはいなかったが、改めてヤツの有能さに気付かされる。
だが、俺を踊らせていたのはヤツだけではない。
「くく、俺はお前を庇護対象だと思っていたが…どうやらその認識を変えなければならないようだ。」
「私はただ、生き残る為に必死だっただけですよ。」
俺の背後に広がる暗い海を、Aはただ眺めていた。
少女は時折、こんな顔をする。
今は分厚いレンズに阻まれ窺い知れないその瞳にはきっと、海ではない何か別のものが見えているのだろう。
「馬鹿にするのも大概にしろ。単なる“生き残る為”という漠然とした目標の下、動いているわけでは無い事くらいお前を見ていれば分かる。」
少女に見えている景色が、どんなものか知りたくなった。
「…A、お前の目的はなんだ?」
銃を持っていない別の方の手で、少女の眼鏡のフレームに手をかける。
外し終えるまで、少女が抵抗することはなかった。
1000人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
仮面タロウ(プロフ) - 深月さん» ですよね!!!夜の美術館とか似合いそうだなぁと思って書きました!いつかは夜のシチュエーションも書いてみたいですね(^^) (2022年8月21日 11時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - ジン……!!!!休日に一人で美術館巡っているとか可愛すぎます!そして、わかりみが深いです、ジン美術館好きそう(笑)続き楽しみにしています。 (2022年8月16日 21時) (レス) @page44 id: 8da4958f2c (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 小宮瑠璃さん» 嬉しい…!ありがとうございます!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - あお。さん» コメントありがとうございます!現在元気に3股してます!笑 これから4になるのか、もっと増えるのかは乞うご期待!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - 仮面タロウさん» めっさ楽しみですぅっ!!完結まで私はこの作品を推し続けます!! (2022年7月25日 22時) (レス) id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:仮面タロウ | 作成日時:2022年6月28日 12時