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帝国学園に姿が見えないのはおかしい。
「おそらく、彼は『失敗作』だ」
失敗作──つまりは帝国学園に入る素養がなかった、凡才。
十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人とは有名な言葉だ。影山零治に見出された時は才能があったのかもしれない。しかし彼のその輝きは、十五を迎える前に消えたのか。
「零君はこれまで一切表舞台に出てこなかった。気をつけなさい有人。影山さんが姿を消した今、彼の怒りはお前や周りの人間に向かうかもしれない」
＊＊＊
「開くのかよ」
薄暗く狭い路地に、夕焼けの光が刺す。影山に今朝鍵を一つ没収され、鍵番号も変更するといわれたからもうとっくにこの型の鍵は使えないと思っていたが。
「意外と詰め甘いな、影山」
こんな隙を見せる奴じゃない。余程大事な用事でもあったのか。
少し警戒しつつアパート内に踏み込む。中は朝の状況と全く変わらない。表の蝶番には今朝影山が貼ったセロハンテープがしっかりと残っていた為、誰かが隠れていることも恐らくないだろう。
にしても、セロハンテープか。
「……ふっ……ハハッ」
あの時の焦った顔を思い出して笑い声が漏れた。
事前にここのテープを剥がして捨てた張本人は、思いっきり隣にいたんだけどな。
携帯の着信音がポケットから鳴った。相手の名前を確認して通話ボタンを押す。
「やぁ、不動君。元気かい？ 」
声の質が異なるとは言え、口調がこうも似ていると紛らわしい。それも、確実にどちらかが片方の猿真似をしている結果だと思うと、甚だ狂った『兄妹』だ。
「あぁ、
「これといった用事はないんだけど、ちょっと話したくて」
気持ち悪ぃな。お前は俺の彼女か。
「んだよそれ。留守とはいえここ影山ちゃんのアパートだから切るぞ」
「あれ、不動君もう合鍵貰えるくらいにあの子と仲良くなったの？ 」
「ハッ、まさか。俺が勝手に作ったんだよ」
「……へぇー」
少し間を置いて返事が返ってきた。
「妹のお守りを任せる相手間違えたって、後悔してんのか？ お兄ちゃん」
「まさか。不動君が思ったより優秀だから、安心してあの子の面倒を任せて良さそうだなぁと思っただけさ」
「あっそ」
信用から出た言葉というよりも脅しに近いニュアンスの発言だった。とはいえ、少女とも少年ともとれる乾いた声は迫力に欠け、うっかりしていると内容が入ってこない程には覇気がない。
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名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか！ ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (
レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました！更新ゆるりと待ってます！！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し40482号 | 作成日時：2020年10月18日 21時
