▼ ページ25
「表、という事は女子チームが先行だな」
「やりぃ! 」
財前がガッツポーズで喜ぶ。
「ワクワクして来たぜ……! 勝つぞー、皆! 」
円堂がゴールに戻る前に僕の肩を軽快に叩いた。
古株のホイッスルで女子チームが一斉にゴールへ向かい走り出す。
「行かせない! 」
基山が相手の行く手を阻む。
「ふふっ。プリマドンナ〜」
敵FWがウインクをしたかと思うと、突然基山の両手を握りその場でクルクルと回り出す。あくまで踊りの域を出ない回転スピードで回った後、二人はすれ違う形で決めポーズを取った。
「……え? 」
そして必殺技をかけられた基山は呆気に取られその場に立ち尽くす。
「うぎぇ……」
何を見せられているんだろうか。
どうやら向こうは相手のペースを乱し自分達の動きやすい環境を作るのが得意らしく、同様の手口で緑川も引っかかった。
「ふふっ。アンタもウチと踊らんか? 」
一つに髪を束ねた彼女が敢えて僕の方へとやってくる。
「嬉しいよバンビーナ。今度二人っきりで是非」
「あらら。つれへん男やな」
「えぇぇ影山!? そんなにすんなり通すなよ! 」
特に競り合いせず道を譲ると、流石に円堂からお叱りの声を頂いてしまった。敵FWは併走していたリカにパスを出す。
「行くで玲華! 」
二人が一斉に飛び上がり手を繋ぐ。背後の美しいアゲハ蝶に思わず見とれていたが、そんな夢見心地の気分を壊す強い蹴りが繰り出された。
「バタフライドリーム!! 」
鱗粉が午後の光を浴びて虹色に乱反射する。
「だぁああッ! 正義の鉄拳G3! 」
円堂が強力な連携シュートを物ともせず弾いた。いつも険しい顔で踏ん張っていたが、今回は表情に余裕が見える。
そして弾かれたボールは僕目がけて飛んできた。
「よっ」
地面にボールが着く前に緑川へパスを回す。
今回の五対五にエリアにおける人数制限やタッチ制限は無い。通常のサッカーで使うこの広いフィールド上に今は敵味方含めてたった十人。ロングパスを繋いだ方が効率が良いだろう。
「よし」
しっかりと緑川がボールを受け取った。
「きゃ〜。どないしょ〜、うーん。右から取ったらええかなぁー? 」
「えっ」
「どないしょ〜。おたくはどう思う? 」
桃色の横髪を指で巻きながら敵DFは緑川に話しかける。
「そ、そんなの聞かれても」
「馬鹿、そこで相手にしたら──」
55人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか! ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました!更新ゆるりと待ってます!! (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名無し40482号 | 作成日時:2020年10月18日 21時