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秋が膝上から逃げて、離れた所で声の主と僕の顔色を交互に伺う。食堂は一変して肌が痛む程の
「お行儀がなってないね……そんなに叩きつけて。お皿が割れたりなんかしたらどうするんだい? 」
「なにをしに来たんだお前は。マネージャーに手を出すな」
「それともあれ? 割れてもいつもは下女が片付けるから気にしないのか。マイセンもバカラも使い捨てかい? いいご身分だなぁ、鬼道君」
「話が通じないフリをするのは止めろ」
「僕に命令するなよ」
「もう一度聞く。なにをしに来た」
「おっと、君の方はフリじゃないみたいだ。僕に命令するな、僕はお前と会話する気なんかこれっぽっちもないって。直接言わなきゃ察せない? 」
「俺だってお前と会話なんてできれば遠慮したいさ。だが、こうも目に余るようでは放置もできないだろう。周りの邪魔をするな。貴様は知らないようだが、ここは代表合宿場だ。遊び場じゃない」
「へぇーそーなんだぁはじめて知った。あはは。楽しそうに遊んでいるみたいだったから、僕も交ぜてほしかったのだけれど。
数秒睨み合っただろうか。鬼道が短くため息を吐いてお盆を下げに踵を返した。
彼が食堂から出て行ったのを視界の端で見届けて、後に続こうとするといつの間にか寄ってきていた円堂に肩を掴まれる。
「え、なに? 」
尋ねてから後悔した。てっきり秋や鬼道への態度を咎められるのだと思ったが、彼の目を見るとどうやらもっと厄介なことになりそうである。
「特訓するなら付き合うぜ! 」
「なん、でそうなるんだ……? 」
「なんでって、鬼道に楽しそうだから交ぜてほしいって言ってただろ」
「は──? 嘘だろうお前! 」
嫌味が通じてないどころか曲解も甚だしい!
「サッカーしに来たんじゃないのか? ジャージ着てるし、トレシュー履いてるし」
「これは」
不動とサッカーした名残り──ダメだ、この言い訳は不動まで出しゃばってきて円堂に自宅を特定される恐れまである。
「そうだよ、円堂君とサッカーしたいなと思ってたんだけれど、鼻が痛むから激しい運動はできないや。また今度ね」
「え。大丈夫って、さっきは言ってましたよね? 」
「げ」
高くてそこまで大きくもないのに不思議とよく耳に残る、そんな声で冬花が言った。彼女は袋に入ったユニフォーム……背番号00の、まごうことなき、特別選手影山零への一着を抱えている。
「使うかなと思って」
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名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか! ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました!更新ゆるりと待ってます!! (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し40482号 | 作成日時:2020年10月18日 21時