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けたたましく騒ぐ目覚まし時計をとめる。
 瞼が重たい。手首で擦ってやっと視界が鮮明になっていく。時計の針を見ると午前四時。なんとか起きられたことに安堵し、手櫛で髪を整える。シャワー後まともに乾かさずに寝る為、髪は現代アート宛ら(さなが)の様子だ。それをなんとか無理矢理編み込む。胸を潰し寝間着から私服に着替えた。
 昨日不動は六時には来るって言っていたから、余裕を持って二時間早めにここを出よう。小箱のことは気になるが、それを口実に僕と接触する為の小道具の可能性もある。
 僕がいない家で待ちぼうけしているといい。どうせ雷門で練習する為に合宿場に戻るだろうから、その間に鍵番号変更してついでに新しいアパートでも見繕っておこう。
 朝ご飯のクッキーフレーバーを一本袋から出して咥えた。
 鍵を回すと、ドアがひとりでに開く。

「は? 」
「はよ。影山ちゃん」
「なッ」

 咥えていたクッキーフレーバーが危うく地面に落ちるところだった。右手でなんとかキャッチする。

「こんな朝っぱらからお出かけか? 」

 慌ててドアを閉めるが、即座に足を挟まれて阻まれた。

「……不動君こそ、随分早かったね」
「どーせこうなると思って早めに来たんだわ。お陰様で寝不足だぜ」
「ずーっと寝ていてもいいよ、永遠に」
「おい、ドアを足にガンガンぶつけんなよ。痛てぇ」
「チッ」

 外で騒ぐと余計に声が響く。朝から近隣住民の顰蹙(ひんしゅく)を買う真似は避けたい。
 ドアを閉めるのを諦め不動を招き入れる。相変わらず重たそう(というか実際フライパンなどが入っているのだから重たい。)バッグを持って、よく来るものだ。

「今日はホットケーキな」
「聞いてない」
「ほらほらリクエストの西瓜もあるぜ」

 子供をあやすように、カットされた西瓜をわざわざ目の前で見せびらかしてくる。やや乱暴に手で払い除け、不動を睨んだ。

「眠いからイラついているんだ。早く作って帰れ」
「そんなに眠ぃなら少し寝とけよ」
「君がいる前で寝られないよ」
「ふん。この間のミーティングで盛大に寝こけてた癖に繊細ぶりやがって」

 相手にしていると余計にストレスが溜まるので、テレビをつけて無理矢理会話を終わらせた。クラシック音楽を扱う番組らしく、管楽器の音が部屋に満ちる。




「おい、出来たぞ」

 テレビの音に意識を傾けていると、不動から声がかかる。甘い香りが鼻を擽った。

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設定タグ:イナイレ , 原作沿い , 不動明王   
作品ジャンル:アニメ
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名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか! ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました!更新ゆるりと待ってます!! (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し40482号 | 作成日時:2020年10月18日 21時

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