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虎丸さんの運転する車で河川敷まで行く事になった。普段こんな高そうな車に乗る機会が無いのでドギマギしてしまう。(ありゃ、でも最近は塔子ちゃんの車乗ったんだったな。)
「元気でやってる？ 」
「う、うん」
「イシド様も君を心配しててさ。どう、海王学園戦の疲れは取れた？ 」
「イシドさ……聖帝が？ 」
「ハハッ、言い直さなくていいよ、普段通りに喋って。勿論、俺達以外の前では駄目だけど」
聖帝イシドシュウジ。私は彼を、イシドさんと呼んでいる。
漫遊寺中サッカー部を廃部に追い込んでしまったあの日、彼は私の暴走を止めてくれた上に、サッカーの指導まで施してくれた。雷門に配属先を変更するなどの配慮も。ファーストシードとはいえ聖帝直々に面倒を見てもらえるなど本来あり得ない話だ。
『すまない、すまないッ……！ 』
雨の中私を抑える様に──実際暴れていたのだから抑えていたのだろう──抱き締め謝られた、あの時の声が今でも鮮明に蘇る。
『典子。私が責任を持って、お前にサッカーを返してみせる』
期間としては一ヶ月も満たない短い間ではあったが面倒を見てもらった。漫遊寺や塔子ちゃんから距離を取らせてくれた。私は確かに彼の手によって救われたのである。
「イシドさん……」
だからこそ、イシドさんがサッカーを支配している理由が分からない。
だってボール越しに彼の想いが伝わるから──サッカーが大好きだ、という熱い気持ちが。
「海王戦は楽しかった？ 」
虎丸さんの声で我にかえる。
「うん！ それに、疲れなんか全然残ってないよ！ 」
「……そうか」
「？ 虎丸さん？ 」
まただ。時折、周りとの温度差を感じる。皆どうして私を見てそんな悲しそうな顔をするのだろうか。こんなにも、私はサッカーを楽しんでいるのに──
「典子、電話鳴ってるよ」
ゾッと体温が下がる。が、番号を見てそれが母からのものだと気づいた私は胸を撫で下ろした。虎丸さんが出る様に片手を振り促してくる。
「もしもし、お母さん？ 」
『典子今どこおんの？ 』
「どこて、虎丸さんの車。河川敷行こうかと思うてるけど」
『すぐ帰ってこおへんの？ 』
「う、うーん……」
折角虎丸さんがサッカーに誘ってくれているのに、帰宅の催促が来るなんて。
『友達来てくれとるよ、松風天馬君』
「松風が？ 」
おずおずと虎丸さんを見ると、彼は爽やかに笑い言った。
「行っておいで」
「でも……」
「行かなきゃ後悔する」
「……？ 」
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しけ(プロフ) - らむさん» ありがとうございます！ 気づいたら無更新で2ヶ月過ぎようとしてますね…！？ 近いうちに必ず更新します！^^ (9月6日 18時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - めっちゃ好きです…！更新お待ちしてます！ (9月5日 4時) (レス) @page27 id: 671cd1d58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2023年1月24日 19時
