７ メタノイア ページ1
７ メタノイア
狩屋の言動を不思議に思っていたが、彼はヤケにすんなりと私の腕を離した。
「夢……確かにそうだけど」
「いいんじゃない？ 雷門と戦いたいなら、他の学校にいた方が反田ちゃんのやりたい様にできると思うし」
微笑む狩屋の表情からは感情が読み取れない。
「戦いたいんじゃないよ、違うよ。……私は皆とサッカーしたいだけ」
「……好きにすれば？ 」
あくまで優しい口調で、狩屋は私を置いて立ち去る。後ろ姿が見えなくなり虎丸さんの方へ向き直ると、彼も私と同様に狩屋を事を目で追っていた。
「虎丸さん……」
「典子」
「私、間違ってるのかな」
神童さんも松風も剣城も信助も、誰も私のサッカーを理解してくれない。
「どうだろうね。君のサッカーが間違いかそうでないかなんて、誰にも判断できないんじゃない？ 」
「……」
「大事なのは正誤じゃない。そんな白黒で分けられる程、単純なものじゃないだろ？ 君のサッカーは。君の本気が仲間の目にどう映っているのか……それをしっかり見て、その上で一歩踏み出す勇気が一番肝心なんだと思うよ」
「……む、難しい……かも……」
「ちょっと抽象的すぎたか」
へたり込む様に再び階段へと腰を下ろす私を、虎丸さんが苦笑する。ポンポンと頭を軽く叩かれた。
「何だか、昔の俺を見てるみたいだ」
「虎丸さんを？ 」
「うん。豪炎寺さんもきっと似てるって言うんじゃないかな」
「ご、豪炎寺さん……！ 」
イナズマジャパンとして活躍し、雷門ではキャプテンまで務めた虎丸さんから豪炎寺という単語が出てくる──改めて目の前の彼が伝説級の存在であると実感し、生唾を飲んだ。
豪炎寺さんは、今どこで何をしているのだろう。海外へ渡り、選手人生のピークであろう最中に、彼は突然姿を眩ませてしまった。
「ねえねえ、虎丸さん。虎丸さんは豪炎寺さんがどこ行ったか知らないの？ 」
「さぁ……」
「怪我とかはしてないって噂だけど……最近はニュースにすらならないし……。もう、サッカーしてる所、見れないのかなぁ……」
「……いいや、そんな事はないさ。きっと豪炎寺さんは戻ってくるよ」
「うん……。私さ、豪炎寺さんとサッカーするのも夢なんだ」
「そ、そっか」
「……アッ、も、勿論虎丸さんとサッカー出来たのも嬉しいよ！？ 」
しどろもどろに言い訳をしていると、虎丸さんが吹き出した。どこからかサッカーボールを取り出し、私にそれを投げ渡す。
「河川敷、寄って行こうか」
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しけ(プロフ) - らむさん» ありがとうございます！ 気づいたら無更新で2ヶ月過ぎようとしてますね…！？ 近いうちに必ず更新します！^^ (9月6日 18時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - めっちゃ好きです…！更新お待ちしてます！ (9月5日 4時) (レス) @page27 id: 671cd1d58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2023年1月24日 19時
