Ｎｏ．１２【inzmGO】CEN (ページ47)

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「自分の立場」

　彼は刺す様な視線を私に向ける。

「改心したフリくらいしなきゃ」
「改心って？」
「皆を騙してごめんなさい、もうこの前みたいな事しませーんって。嘘だとしても言わなきゃお前本当にサッカー部から追い出されるよ」
「なッ、私は皆を騙したりなんかしてない！」

　二人しかいない教室はやけに声が響いた。

「……余計に質悪いじゃん」
「本気出せる相手が雷門の皆って、私ずっと説明してるのに」
「はいはい」
「興味なさそ〜！？狩屋こそヤバいでしょ！シードじゃないのに、シードって決めつけられて追い出されてるんだけど！」
「誰のせいだと思ってんの、って、これ言うの二回目だぜ！？」
「剣城のせいじゃないの？」
「そうだ剣城！あんのやろー……！あと、お前もだからなこの馬鹿！」
「ギーッまぁた馬鹿って！馬鹿ゆうた方が馬鹿ですよ〜だ、このタコ！」

　教室で騒いでいると通りすがりの先生に怒られたので、とにかく私と狩屋は連れたって校舎を出る。サッカー棟には近づけないし、図書館は煩くすると叱られてしまうだろうから、彷徨いた結果体育館の方へと足が向いていた。
　陸上部の部員達が元気な掛け声と共に走っている。
　立ち話も疲れるので適当に、どちらともなくコンクリート製の階段へと腰を下ろした。

「狩屋はさ、ホントにサッカー部にシードいると思う？」
「うん。いるよ」
「な、なんでそんなハッキリ断言出来ちゃうの」
「じゃあ反田ちゃんは倉間先輩が嘘ついてるって思うんだ」
「ハ！？倉間さんが嘘なんかつく訳ないじゃん！！」
「うるっさいなぁ、声のボリューム落せよ……！」

　狩屋はそう言って両耳を手で押さえた。

「倉間さんあの時絶対に本気で逃げてたもん。シードなら逃げたり、そもそも隠れて海王の話に聞き耳立てなくたっていいじゃん」
「だから俺もそう思ってるんだって」
「……あれ、でもさ。私は海王の奴らの話を盗み聞きしてる所しっかり目撃したから、倉間さんはシードじゃないんだろうなーって思ってるけど、狩屋が倉間さんを信用してる理由は何？」
「そりゃあだって。俺、シードが誰か分かってるもん」
「ははぁ、そうなんだ……、だから倉間さんは違うって……ん……？」
「そういう事」

　そしてニッコリと甘ったるい笑顔で、狩屋はシードの名を口にする。

「……ぃ……、ええええぇぇええッ！？！？」

　心の準備が出来ていなかった私は大声で叫んでしまい、陸上部からは大顰蹙を買った。