Ｎｏ．１２【inzmGO】CEN (ページ45)

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剣城を追いかけようとした反田の行く手を阻んだのは、神童と浪川だった。両チームのキャプテンが、ボールを持っていない選手に化身を出してマークにつく異様さに実況者の言葉も少なくなる。

「ハァ……気に食わねえ……お前だけは、ぐぅッ……！あの時俺を見つけてくれた、フィフスセクターの為に──」

　息も絶え絶えといった浪川の声は、ホイッスルの音で掻き消される。彼が青褪めた顔で振り返ると、視界にランスロットの化身シュートが海王ゴールに突き刺さっている光景が広がった。

『剣城のロストエンジェルで雷門逆転勝ちだァっーー！！３ー４！ホーリーロード地区予選を優勝し、全国大会へ駒を進めたのは雷門中』
「あ……試合終わっちゃった……」

　残念そうに呟いた後、反田は浪川に一瞥もくれずに神童へと歩み寄る。

「楽しかったですね！」

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.

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「反田さん」

　どうやら私は寝ていたらしい。船を漕いでいた私は体勢を崩し、机の足を引きずり大きな音を立ててしまった。
　先生がポンと私の頭に教科書を乗せると周りからは控えめな笑い声が上がった。

「サッカー部で疲れているのは分かるけど、授業はちゃんと聞かなきゃね」
「は、はい……」

　恥ずかしさで消え入るような声が出る。そして先生が口にしたサッカー部の単語に私はこの間の出来事を思い出して目を伏せた。

「──ふざけるなッ！！」

　ロッカールームに神童さんの怒声が響く。

「お前がやっているのはサッカーなんかじゃない！敵味方関係なく、いたずらにボールを選手にぶつけているだけの、暴力と何ら変わらない妨害行為だ！」

　周りの皆も押し黙っていた。どれだけ説明してもこの場にいる全員、私のいうサッカーを理解してくれなかった。

「出ていけ」
「神童さ」
「俺にはお前のサッカーは理解できないし、認める事もできない。革命を成功させて本当のサッカーを、自由なサッカーを取り戻すと決めたんだ……！」

　ポロポロと神童さんの瞳から雫が溢れる。

「何より……これ以上お前を嫌いになりたくない……、頼む。出ていってくれ」

　終業を知らせるチャイムが鳴る。
　帰りの会を終えて、クラスメイトが各々荷物を抱え教室を飛び出していく。
　謹慎を言い渡されたのでグラウンドには入れないけれど、私はまだサッカー部だ。そしてこの謹慎が厄介で、期間は定められていないのだが──

「まだ準備終わってないの？反田さん」

　狩屋が溜息混じりに私を呼んだ。