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その後も私は神童先輩と化身の特訓を続けた。思いの外腹部へのダメージが大きかったらしく、神童先輩の動きは目に見えて鈍っていて化身を出すまでもなく対処出来てしまったが、それでも彼の気迫にはところどころヒヤリとさせられた場面もあった。
「俺、河川敷で特訓してから帰るよ」
え。と思わず不安げな声を出したのは葵ちゃんだ。
もう夏が近くなってきてからというもの、最終下校時間も大幅に伸びて部活の時間もそれに比例して長くなった。それなのに今から河川敷で自主練ともなると中学生が出歩くには少々危ない時間帯になってくる。
それは松風も分かっているらしく、私と信助のどちらも練習に誘っては来なかった。
「大丈夫かなぁ、天馬」
走り去る松風の背を見て、信助がほぼ独り言の様に溢した。
大丈夫じゃなかった。
「このボールを蹴ったのはお前か」
「は、はい……」
二人と別れた後、松風の事が気になり私は一人で河川敷に引き返してみれば──松風が蹴ったボールがベンチで寝ていた男性の顔面にぶち当たってしまった現場を目撃してしまった。
「どどどうしよ……！ 」
松風に迫る男性はこの薄暗い中でも一際強い存在感を放つ蛍光ピンクのジャージを羽織っている。
よく見るよ深夜のコンビニでこういう人！ 私の直感が危ないと叫ぶ。防犯ブザーはランドセルと共に卒業したし、警察！？ いやあんな至近距離じゃ呼んでも間に合わない！
「松風ーー！ 」
「反田！？ 」
「……反田？ 」
私は土手を駆け下りて松風の腕を引き、とにかくこの男性との距離を取ろうと走った。
明るい方──河川敷駅に全力で駆け込む。
「追ってきてない！？ 」
「う、うん……！ 」
「怖かったー……！ 何してんの松風！ 変な人に会ったらすぐ逃げなきゃ駄目だよ！ 」
「それは反田こそ！ 何で河川敷に来たの、てかなんで向かってきたの！？ 」
「心配だからに決まっとるやろアホ〜！ 」
.
.
「アイツ、反田って言ってなかったか？ 」
「ああ。あの子が典子ちゃんらしい。……お前のせいだぞ」
「あ？ 何が」
「二人に話したい事があったってのに」
「遅れてきたお前が悪いだろ」
「いいや、あんな所で寝てたお前が悪い。ボールをぶつけられたのも自業自得だ。事前に話しかけておくくらいの機転は効かせてくれよ」
「ガキに話しかけた結果、俺がお縄になっても助けてくれるんだろうな？
「……や、悪かったよ。
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作者名：やに | 作成日時：2022年9月11日 21時
