５ argent on the cake ページ1
５ アージェントオンザケーキ
次の日、私達は円堂さんの指示通り帝国学園に集合していた。
「よし、典子もいるな」
「はい！ 」
神童先輩が全員いる事を確かめてから、私達は帝国学園の内部へ入るべく動く歩道に乗った。この間潜入した時はおっかなびっくりに乗っていたのでこうして堂々と突っ立ってても大丈夫なのかちょっと不安になる。
「何かされちゃうんですかね……」
「何かって、何なんだド」
「分かりませんけどっ、だって帝国ってシードが四人もいたじゃないですか」
フィフスセクターの使命などを高らかに口にしていた人間が四人いて、恐らくその彼らがシードだったのだろうと雷門では結論付けられていた。
「音無先生も聞いてないんですか？ 」
「えぇ、私は何も……」
「ふん。監督は何もビビってねえじゃん」
「心配するな。これは鬼道からの招待なんだ。俺達に会わせたい人がいるそうだ」
円堂さんが不安がる私達へ笑いかけた。
結局音無先生と鬼道さんの兄妹いざこざはどうなっていたのだろう。鬼道さんと思しき人が帝国ベンチに腰掛けていたのは確認した。
そんな彼が、雷門を招待とくれば速水先輩じゃなくても身構えるのは当たり前だった。
動く歩道が終わり入り口に辿り付いた。そして扉が開くと見覚えのある様な眼帯の男性と帝国イレブンのゴールキーパー(確か名前は、えっと、あの時音無先生に見せてもらった資料に……あっ！ )雅野が並んでいる。
「佐久間さん！ 」
「……佐久間さん！？ 」
音無先生の口から出てきた名前にワンテンポ遅れて反応する。見覚えがあるなんて騒ぎではない、帝国学園に眼帯の佐久間とくればイナズマジャパンで活躍していた佐久間次郎以外にいないではないか。
「雷門イレブンの諸君、待っていたよ。さあ入ってくれ。……但し、ここから先は他言無用で願いたい。そこの君」
茜さんに視線が集まる。
「撮影禁止だからね」
「はーい……」
落ち込む茜さん。そんな姿に苦笑いするマネージャー陣と音無先生。怒られてしまった茜さんには悪いが少しだけ空気が明るくなった気がした。
「なんか、おっかない感じ……」
動く歩道を降りて進んでいると、信助が隣で呟く。何度見ても帝国学園の校内は無機質で慣れない。帝国学園に配属されなくて良かった。
「やっぱり何かされるんだ……」
「だから！ される訳ねーって！ 」
うんざりしてる車田先輩を盾に進む速水先輩。(ビビり過ぎでは？ )
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作者名：やに | 作成日時：2022年9月11日 21時
