Ｎｏ．１２【inzmGO】BEORC (ページ5)

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『だが万能坂もボールを奪い返す！これは凄まじい試合になってきた！先程までの一方的な展開とは打って変わって、両者一歩も譲らない互角の戦いだ！しかし後半も残り僅か、このまま２ー１で終わってしまうのか！？』
「調子に乗んじゃねエーーッ！！」

　強引に光良が松風君からボールを取った。

「アイツに渡ったら化身シュートが来る！！」

　三国先輩が腰を落としてシュートに備えるが、その前に天城さんが仁王立ちで立ち塞がる。彼が地面に向かって拳を振り下ろすと足元から城壁がそそり建った。

『だが天城が必殺技で防いだ！』
「ナイスです！天城さん！」

　万里の長城によって完全に進路が絶たれた光良はどうにか突破できないかと動き回るが、そうしている内に地震によって体のバランスを崩してボールを溢す。磯崎がフォローに向かうが、ボールを先に拾ったのは剣城だ。

「行け！決めろ剣城！」

　松風君の声がベンチにも届く。
　赤いマントを翻して現れたのは、剣城の化身。

「剣聖ランスロット──」

　久しぶりに見た騎士の化身に私は目が釘付けになる。篠山もガレウスを出した。化身対化身の対決だ。

「ロストエンジェル──！」
「が、ガーディアンシールド……っ！」

　ランスロットが剣を突き刺しガレウスの盾をこじ開けようとする。

「く、くうう……ウるらあアアッ！！」

　剣城の咆哮に呼応してランスロットの力が増した。ガレウスが霧散すると篠山は遅い来る一撃に成す術なくボールと共にゴールネットへと押し込まれた。

『ランスロットが、ガレウスの盾を弾き飛ばした！ゴォール！！雷門二点目だ！同点に追いついたぞ！！』
「調子に乗ってんじゃねえ！ぬるま湯に浸かってたお前らに……！俺達が負ける訳、ねえだろうがァ！！」

　試合開始と共に磯崎がドリブルで切り込んでくる。剣城が磯崎にタックルを仕掛けるとボールは二人から離れてサイドの倉間先輩の足元へ転がった。

「倉間！ ……！？あ、アイツボールを見てすらいないぞ！？」

　棒立ちだ。腕を組み俯いたまま全然動こうとしない彼に、磯崎が笑みを浮かべる。

「利口な奴が一人残ってんじゃねえか！おい、そのボールをコッチに寄越せ！！」
「チッ……！こっちにパスだ！」
「……」

　磯崎と剣城が体を押し退け合いながら倉間先輩の元へ走る。

「倉間先輩！！」──松風君が叫んだ。

「ほらよ」

　倉間先輩が剣城にパスを出した。