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「だが……」
「私も帝国行きたいです！ あ、音無先生が心配で！ そんな帝国の選手とあわよくばサッカーしたいとかは、全然」
「本音ダダ漏れじゃねーか！ ったく、俺も行く。いいよな神童」
「仕方ない。それじゃあ浜野、倉間。頼んだ。典子はすぐどこかに行くから目を離すなよ」
「はいよ！ 」
「俺も行っていいですか？ 」
「天馬、遊びに行くんじゃないんだぞ……。はぁ。分かった、行ってこい」
「コイツも来んのかよ」
「四人いればなんとかなるだろう」
「なんとかなるってお前」
「早く行きましょう倉間先輩！ 帝国選手が待ってます！ 」
「音無先生を迎えに行くんだよ！！ 」
帝国学園に着くと天候が悪くなってきた。曇天を見上げると、冷たく重たい帝国学園の校舎が視界いっぱいに広がる。
「ここが帝国学園……」
「本当に学校なのか？ 」
「校舎っちゅーか、軍の秘密基地って感じ」
「こんだけデカくて秘密も何もあるかよ」
「音無せんせーい！ 」
「あのー、すみませーん」
「ちょっ二人共……！ 」
私は浜野さんに口元を抑えられた。帝国生徒の元へ行こうとする松風君は倉間先輩に小突かれている。
「帝国の奴らに見つからない様に気をつけなきゃなんだから、大声出しちゃ駄目じゃん……！ 視察とかバレたら大変だぞ……？ 」
「だから嫌なんだコイツら……！ 」
私は必死に首を縦に振る。
雷門のジャージを着ているのですれ違う人々にもの珍しげな視線を向けられはしたが、何とか校舎まで追い出されずに侵入できた。
「あっ……！ 音無先生！ 」
「えっ……！？ 貴方達、どうしてここに！ 」
物々しい雰囲気の廊下を進んでいると、私達は扉の前に出る。そこには音無先生が一人で立っていた。
「音無先生を探しに来たんです。先生こそどうして一人で帝国学園へ？ 」
「対戦相手が変わったって剣城から聞きました。帝国学園はフィフスセクターの傘下に下ってるんです、雷門の人間だってバレたらいくら大人の先生でも危険じゃないですか」
「……そうだったの。ごめんなさい、生徒に心配かけるなんて教室失格ね。分かったわ、全部話す。……これを見て頂戴」
音無先生はポケットから書類を取り出すと、倉間先輩へと渡す。私達は背中越しに書類を覗いた。
「これは……帝国学園サッカー部のデータですか？ えっと……」
帝国学園サッカー部 登録名
キャプテン「御門春馬」
キーパー「雅野麗一」
──監督「鬼道有人」
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作者名：やに | 作成日時：2022年8月26日 1時
