Ｎｏ．１２【inzmGO】BEORC (ページ2)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:6,506 hit

▼ ページ2

松風君から剣城がボールを奪う。一人、また一人と万能坂のチャージを躱した。本当に自分だけで万能坂と戦うらしい。他の三人は雷門陣営に置いてけぼりだ。
　あっという間にゴール前に辿り着くと、そのままデスソードを打つ。

「流石シード！」

　雷門ベンチは得点を確信していた。だが円堂さんだけが変わらずに相手のゴールキーパーから視線を離さない。
　私も篠山へと再び目をやると、その瞬間彼の背後から禍々しいオーラが溢れ出た。

「化身！」

　機械兵ガレウスと呼ばれた化身は彼の動きにあわせて動き、両手でシュートを防いでみせる。

「アイツ、化身使いだったんだ。前半デスソードを止めなかったのは油断してたのかな」
「戻れお前ら！攻められるぞー！」

　とはいえ流石の剣城も二重、三重のマークを振り切りながらでは守備に戻るのは苦しい。篠山が大きく蹴り出した前線へのパスはあの少女の様な容姿をした選手──光良──へと渡ってしまった。
　高笑いと共に彼も化身を出す。道化師の見た目通り、怪しげな箱を出すと、高く飛んでいた光良がボールを踵で押し込んだ。少しの間をおいて箱が解かれ現れたボールは強烈なオーラを帯びており、光良の合図で雷門ゴールへと襲いかかった。
　三国先輩もバーニングキャッチで応戦するが化身のシュートには敵わない。

『追加点は万能坂！後半開始早々、雷門、２ー１と突き放されたァー！』
「そ、そんな……」

　葵ちゃんが悔しさからスカートを手で握る。

『雷門ボールで試合再開です！車田達は相変わらずタッチラインに立ったまま！雷門はこの戦法を続けるのか！？』

　神童先輩が少し敵を引きつけた後、信助へとバックパスを出した。しかしそのボールを剣城が奪い取り、再び単身で万能坂のゴールへと向かう。

「アイツまた一人で攻める気か……！」

　霧野先輩が悔しそうに剣城を目で追っている。

『剣城、果敢に向かっていくが万能坂中のディフェンスが崩せない！』

　松風君や神童先輩がパスコースを作るべく動き回るが人数の不利が響いている。

『剣城が囲まれたー！とうとうボールを奪われたぞ！』

　ボールを受け取った磯崎は煽る様にその場でリフティングを始めた。そしてパスを出すフリをして剣城に強力なボールを放つ。

「剣城でもシードの二人がかりじゃ……！」
「避けろ剣城！怪我するぞ！！」
「大丈夫だよ」

　だって剣城だもん。